雨の中、グラビアアイドルを追い求めて

 初めて電車に乗る今日は、まるで僕を拒むかのように土砂降りの大雨だった。

「次は、仙台、仙台です。お乗り換えの……」

 福島駅から乗っている僕の目に、車窓の景色は淀んだ暗澹たる気分を与えた。まるでこの先、必ず不幸が訪れると呟いている様に。

 乗り換えのため、ホームに突っ立って小牛田こごた駅行きの列車を待つ。

 雨は全身を容赦なく叩きつけ、悪意を持って僕を攻撃している。

「雨……死ね……」

 心の中で呟いた言葉。もしかして漏れた?

 と、後ろに、誰か来た。反射的に後ろを

「……」

「……半澤くん、だよね」

 その瞬間、旅は終わった。僕は何も言わずに転校した彼女が嫌で、一発殴るために、青森駅まで行ってやろうと思っていた。新幹線を使わない理由は、僕が疲労した姿を見せつけて、あたかも道中が苦難に満ちたものだったと錯覚させるため。座ってるだけだったことを悟られないため。

「半澤くん、やっぱり怒ってる? 私が、勝手にいなくなったこと」

 白い肌、くりっとした目、申し訳なさそうな眉、胸の谷間。胸の谷間。胸の谷間。

 僕は最低だ。彼女が好きだけど、その理由はエロ可愛い顔と容姿だからだ。こんなの、真の愛からはかけ離れてる。僕は三次元に発見した僕の偶像グラビアアイドルを追い求めてるだけなんだ。

 僕は、そんな僕が悲しい。

「再会できて良かった。好きだよ」

 言いながら、僕は彼女の胸を揉む。

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