4.リラクゼーションセラピストの技術


 リラクゼーションセラピストの技術は生涯使える技術です…なんていう事をネット広告でも見掛けますが本当でしょうか?


 …これは個人的な見解ではありますが「唯」でもあり、「否」でもあります。


 リラクゼーションセラピストの技術は資格の必要な医療類似行為である按摩などと違い、あくまで心身をリラックスさせるサービス業の技術です。


 その為、特別な資格もいらず施術者がどんなに年齢を重ねても「私はセラピストです」と名乗っている間はリラクゼーションセラピストな訳ですから、そういう意味では引退しますと言わない限りずっと現役で金銭を稼ぐ事はできると言えます。

 …それだけで食べていける程稼げるかは別として。



 しかしながら、この仕事は自分の体に多大な負担を頻繁に掛ける仕事でもあります。


 指や手首、肘、肩腰膝の故障は日常茶飯事。


 10年以上続けている私も既に手指が変形してますし、指が外側へ開く動きばかりしているのでペンや箸を15分も握っていられない程握力低下しましたし、未だに圧迫角度を少しでも誤ると手首に負担が来ます。


 腱鞘炎や手根管症候群の症状抱えたまま、指や手首に10キロ20キロの圧力を1時間2時間掛け続けたりしなきゃいけないので呑気に湿布貼って痛いとか言ってる暇もない。

 ちょっとした痛みにも弱い人は学ぶ技術はよくよく選ばなければなりません。


 筋肉が付いている若い内はまだ支えがあるので良いですが、年齢を重ねて筋肉が衰え関節まで痛くなったら…?今押せている圧力を施術の最初から最後まで変わらずにキープ出来るでしょうか?



 何度も言いますが、リラクゼーションセラピストの技術はサービス業の一環です。

 その為基本的にお客様が店選びの選択権利を有しております。


 周囲に同業者が居ないのに需要過多で供給不足しているような地域ならまだしも、この業界の店は自宅サロンも含めると年に3000件新しく出来、3200件は潰れてる等と言われる程、数年前から既に飽和状態と言われてる昨今、施術レベルが落ちた状態の施術者に果たしてどれ程の方がやってもらいたいと思うでしょうか。


 余程、お客様を掴む魅力がなければ難しいのでは?そしてそんな魅力があるのであれば、リラクゼーションセラピストにこだわらなくてもどこでもやっていけそうな気も…



 また、人体についての解明はこれだけ科学進歩した現在でもまだ10%しか解ってないと言われています。


 なので、これから先もどんどん流行を取り入れた新しい技術が生まれたり今まで常識と言われていた知識も実はやっては逆効果でした…なんて変化も今後もあると思います。


 実際に私がこの世界に入った時に学んだはずの常識がいくつも変化していくのを目の当たりにしてきましたし、今後もどんどん変化していくでしょう。


 そんな業界で一つ技術を学んだからと言って、今後もずっと同じ技術でやっていける物でしょうか?


 大手企業にずっと在籍していれば、定期的に新技術の講習やブラッシュアップ研修等を開いてくれるでしょうけど、自宅サロンや小規模店舗は自分でなんとかしなければなりません。


 そうなってくると、必要になってくるのはネットを使いこなして情報を正しく読み取る力量だとか、他店に行って技術を盗む情報収集能力、物事に対する好奇心、お互いに情報交換ができる交遊関係など…


 年齢を重ねてもこれらの手間や能力を発揮できるのは、本当に人体に興味を持って面白いと感じている人だけ。


 はっきり言いますが、研修等受けに行ってこの範囲は必ず覚えてくださいね!と言われて本当にそこだけしか覚えられない人はこの職は向いてません。


 人体に興味があって、もっと知りたい!みたいな感じでなければ生涯この職で食べていくというのは難しいのではないかな…と長年この職を続け、辞めていく人をずっと見送ってきた身としては思うのです。



 …という事で、リラクゼーションセラピストの技術を生涯使っていけるかは本人次第、という結論。


 私も、痛くなりやすい手首を擦りながらいつまで出来るのかな?とかぼんやりとは思ってます。

 でも深く考えても仕方がない。

 突然の怪我で辞めざる得ない時だってあり得るのだから。


 …続けるなら自分の身体を大切にしないとね!


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