第11話 忘れ物
忘れ物には、事欠かない。
筆箱、教科書、ノートに水筒。
リコーダー、そろばん、彫刻刀。
学校って、なんであんなにいっぱい持ち物があったんだろう。しかも、毎日変わるなんて。
小学生の頃から、私はしょっちゅう忘れ物をし、家に取りに帰っていた。
中学生の時は、なぜか学校に鞄を置いて帰った。
高校生の時は、時間割を翌日と間違え、友人に教科書を借りまくった。
大人になると、持ち物が減る。財布、鍵、携帯くらい。たまに携帯は忘れるけど、他はいつものバックに入れっぱなしだから、大丈夫。
しかし母になった今、再び私は忘れ物に悩まされている。
タオル、体操服、水筒、ハンカチ。
着替は常に園に3セット準備。
保育園って、なんでこんなに持ち物多いんだろう。
そして、今朝のこと。
寝坊した私は朝からバタバタ。なんとか保育園に到着し、二歳の娘を先生に渡し、五歳の息子とバイバイしようとしたところ。
「教室でお支度しようとしたけど、リュックが無くて…」
もじもじする息子。意味が分からない私。
大丈夫?と聞くと、頷く息子。不審に思いつつ、バイバイして園を出る。
全速力で自転車を漕ぎながら、気付く。
登園リュック、忘れたんじゃ!!!
慌てて自宅に引き返すと、置き去りのリュック。
園に届けると、皆が体操服に着替える中、教室で泣きべその息子。
まさに先生が、「体操服無いから、制服で頑張ろうね」と慰めてたらしい…。
私が「遅刻だ!」って急かしてたから、気付いた後も、リュックが無いって言えなかったんだろうなぁ…。
涙をこらえる息子に、胸がぎゅっとなる。
「こんなお母さんで、ごめんね」って言いたくなるけど、それはこらえる。
息子から、「こんなボクで、ごめん」なんて、言われたくはない。
結局、今朝は遅刻してしまったのだけど。
こんなお母さんなりに、頑張るしかないよね。
息子は、来年小学生になる。
今以上に大変になる、登校準備。
今のうちから、息子と一緒に練習していかなくちゃね。
「わざとだったら怒るけど、うっかりなら怒らないよ!」と、言ってくれる息子。
明日はうっかりしないように、がんばろう。
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