2話目:今で言う毒ってやつだね

 私の母はゆったりまったりした人で、家族大好き・人形大好き・動物大好き。コーヒー・タバコ・好きなゲームの課金が出来れば良いよと言う人だ。しかし子供の私から見て、そのゆったりまったりな性格ゆえ、少し傷付きやすく泣き虫だと思う。良くも悪くも優しすぎるのではと、子供心に心配している。そんな母が、自分は大好きなのだが。さて、何が言いたいのかと言うと、そんな母の親が何故あんな人達なんだと、今でも思う。


 私が小学一年生の時に、母は離婚調停の準備と新天地を見つける為に、一度家を出ている。母は出ていく理由を話してくれたし、子供だったので全ては理解していなかったが、母が父親と別れる事に不思議と思わなかった。母を信じて私は待っていた。

その間は母方の祖父母と叔母(母の姉)と父親との生活だったのだが……母の両親、祖父母は今で言う毒親だった。そして母は、まさか孫である私には手を出さないだろうと思ったそうな。まぁ、その期待は脆くも崩れたのだが(この事については、今でも母は謝ってくる)。

 さて、その間の生活はどうだったか。まず祖父だが、甘やかしてはきたがどこか無関心だった。叔母はあまり覚えていない。父親は普通にネグレクトだが、一番の問題は祖母だった。この人は本当に気分の上下が激しく怖かった。特に食品関連の恐怖が多い。その内から最も恐怖に感じた二つを紹介したい。


 一つは、嘔吐我慢しろ事件。子供だろうが大人だろうが、吐き気が込み上げてくる事は誰だってあるし、嘔吐を我慢できない。体調不良の嘔吐は、本当に我慢できない。

 原因は忘れたが、ある日私は吐き気が込み上げてきた。私は祖母に吐き気がある事を訴えた。祖母は私を見つめると、いきなり手を掴んで玄関まで連れてこられて、外に出された。玄関が閉められ、暫くすると開いた。そこにはアイスを手にした祖母が立っていた。

 「これが食べたかったら、吐くのを我慢しなさい。アンタなら出来るでしょ?」

 アイスをヒラヒラさせ、にこやかな祖母が怖かった。当然ながら我慢など出来ず、私は嘔吐した。それを見ながら、

 「はい、残念。ダメでしょ?我慢しなくちゃ」

 と、さも私が嘔吐したのがダメな言いぐさだった。困った事に、この後どうしたのかは覚えていない。


 もう一つは、お菓子詰め込まれ事件。その日の私はおやつを食べていた。こたつに入り、アニメを見ていた。その時、祖母が帰ってきたのだが、えらく不機嫌だった。イライラしながら居間と台所を行ったり来たりと、落ち着かなかった。その時、お菓子を食べていた私を見ると、

 「今すぐ食べるのを止めなさい。食べ過ぎだよ」

 「え~、まだ食べてるからやだ」

 その時だ。いきなり後ろから首に腕を回され、押さえ込まれた。そして、食べていたお菓子を鷲掴みにすると、

 「ならずっと食べてろ!」

 と、鷲掴みにしたお菓子を私の口に詰め込んできた。苦しいのと恐怖で暴れまわった。祖母の腕を掻きむしった。流石の祖母もヤバイと思ったのが、すぐに止めたし、抱き締められて謝られた。しかし、そんな事をされても、もはや祖母に対して恐怖しかなかった。そこからなるべく、祖母に逆らわないように生きてきた。

 それから一年で母は迎えに来た。色々あって、離婚が成立したのは私が小学三年生の時だった。まぁ、暫くは祖父母や叔母からのストーカーに悩まされたのだが………。

 さて、ここで一つ余談を書こう。戸籍上の私の父親は、離婚が成立してからどうしていたのか。それから二十年程、妻の実家に入り浸っていたのだが、これは普通なんだろうか?


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