第142話 ドラゴンノベルス小説コンテストのあれこれ(5)

 第五回ドラゴンノベルス小説コンテスト、読者選考期間も終了しました。


 はっきり言えば、今回の参加は不完全燃焼と言える結果。

 単純な評価だけでなく、私自身が全力で遣り切れなかった。

 今回の募集テーマはまたとないものだっただけに、残念な結末となったことは拭い去れぬ後悔として今もなお胸に残ったままです。


 ……やむにやまれぬ事情は確かにありました。


 私は所詮、プロではない。

 生業とする職業があり、代えがたい私生活がある。


 その『現実リアル』が激変するような出来事がコントスト期間中に発生し、両立できるよういろいろ頑張ってみたものの――どうしても、私は創作活動を後回しにする道を選ばざるをえませんでした。


 どう言い繕っても、『現実』より大切なものは存在しないのです。


 創作するためにも、まずは目の前の『現実』を生きなくてはなりません。

『現実』を精一杯生きずして、真の幻想ゆめなど描けるわけもない。


 仮に、『現実』の全てを投げ打ってコンテストに挑んだとして、その結果を果たして受け入れることができたでしょうか?


 ……否。どんな結果であろうと、『現実』に関わる人たちを蔑ろにした私を、私自身がきっと許せなかったでしょう。


 この話はそう――『夢』と『現実』も、どちらも手に入れられるだけの決意と実力を私が持っていなかっただけ、という話なのです。


 しかし、それを体感できただけでも挑戦した甲斐はあったと思います。


 私は『現実』を取った。

 それを悔しいと、残念だと感じている。


 だから――は思わずにはいられない。


 そう。私は諦めが悪い。

 二十年、小説と格闘してきた身の上。向いていないのだと、才能がないのだと、あっさり身の程を弁えることができたのなら、今こうやって近況を書くことだってないのです。さっさとアカウントを削除すればいいのですから。


 そんな私ですから、なんやかんや言いながらも、きっとまた何かを書き始めることでしょう。


 何はともあれ。

 他の参加者の皆さま、コンテストお疲れさまでした。


 最期まで戦い抜いた皆さまに善い結末が訪れますよう――。

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