第139話 ドラゴンノベルス小説コンテストのあれこれ(2)

 第5回ドラゴンノベルスコンテストが開催されてからすでに十日が過ぎました。


 私はスタートダッシュで出遅れ、5月3日からの参加となりましたが、その分、新規読者の望めるGW期間中は一日数回の更新をしようと心掛けていました。


 心掛けすぎてあっという間にストックを使い果たし、二週目からは何も更新できない状態になりましたが。ぬーん、見切り発進も甚だしい。


 現在は、とりあえず再びストックを溜める作業に没頭しています。

 次回の更新まで、暫しお待ちを。


 しかし、私がわちゃわちゃしている間にも、世の賢明な書き手たちは定期行進を怠っていません。きっとこのあたりの計画性が、台頭する作家とそうでない作家の境界線なのでしょう。こんなエッセイなんて書いている場合ではございませんのだ。


 ございませんのだ……が、よ。

 ちょっと嬉しいことがあったので、一端、改稿の手を止めてみる。


 なんとなく想像つく方もいらっしゃるでしょうが、詳細は以下のアドレスへ。


 https://kakuyomu.jp/users/shiratakeshidou/news/16817330657094115403


 わかりましたね?

 そう、イラスト方面で懇意にさせていただいている絵師の方から、ローザリッタの衣装設定画を頂いたのです!


 なるほどぉ。犬茶さんの中ではローザはこんな感じかぁ。

 挿絵も何もない世界ですから、書いている私が頭の中でイメージする姿と、読者の想像する姿は差異があって当然。でも、だからこそ、自分ではイメージできなかった姿を見ることができて、とても面白い。


 特に衣装設定。

 衣装に関しては、私もちょっと思うところがあるのですよ。

 今回はそういう衣装に関するお話。


 小説以外の創作としてたまーにイラストを描いたりする私ですが、その活動の中で何度かローザリッタを描いたことはあります。


 ですが、SNS等で公開させていただいた今年の新年イラストでもご理解いただける通り、私のローザリッタは基本的にバニーガール姿。


 コスプレ絵しか描いていない一番の理由は、私がバニー好げふんげふん……私自身が、あの世界観の衣装デザインというものをはっきり決めきれていないからです。


 服飾というものは、食文化と並んで、その世界の文化観を象徴する重要な要素。

 まして、架空世界の服飾のデザインなんて、深い知識と想像力がないと成し得ないもの。そんなもの、私のような半端な物書きにできるはずがない。


 そのため、作中でも衣服に関しては『寝巻き』やら『道着』やら『着物』やらと曖昧かつ簡潔に記すだけで、詳細な描写をしていないのは、私自身にキャラクターたちが身に着けている衣装のイメージがまったくないからなのです。


 ざっくりと決めている服飾のルールとしては、あの世界は『帯・紐の文化』であるということだけ。


 言い換えれば、まだ服を

 何故なら、エインセル・サーガの世界観には四季があるから。

 そして、ボタンは寒い国で必要とされた留め具だからです。


 寒い国では襟や袖がふんわりしている開放的な衣装は、ただただ冷たい風を取り入れるだけで実用に耐えません。ついでに言えば、そういうダボっとした服は重ね着もしづらいもの。そういった事情から、寒い国の衣装は体型にぴったり合うように作られています。


 それでも、服というものが人間の身体より大きくないと着用できない以上、どうしても隙間は生まれてしまう。それを可能な限り埋めるには、紐や帯で締めるよりも、ボタンでしっかり締めるほうが適しているのです。


 ところが、前述したとおり、エインセル・サーガ世界には四季がある。

 年中寒いわけではないし、稲作ができるということは基本的に温暖な気候だということ。温かい気候の国であれば、ぴっちりした服は必要ありません。古代ギリシャ人を見てみるがいい。彼らは一枚の布を体に巻いているだけである。


 ましてやボタンの出番などはなく、服の継ぎ目などは紐や帯などでざっくりと結び留めればそれで事足りる。


 以上の理由から、エインセル・サーガの世界にボタンはないのです。


 え? それでも留めるならボタンの方が楽じゃないかって?


 よく考えてみてください。現代でも靴はだいたい靴ヒモで結ぶでしょ。

 毎日履くような靴でも未だにヒモなのですよ。

 言うほど、利便性の面ではボタンも帯紐も大して変わらない。だったら、金属だの陶器だの、いちいち別の素材で作らなくてはならないボタンよりも、衣服と同じ素材で作れる帯や紐の方が生産性の面でコスパがいいというものです。


 ボタンがない以上、留め具は帯・紐であり、気候が温暖ということはゆったりめの衣装が生まれるはず。なので、エインセル・サーガ世界の服飾のイメージとしては和装に近いと思われます。


 とはいえ、束帯やら小袖やら書いてしまえば、それは和装に近いのではなく、和装そのものになってしまいます。私が書きたいのはあくまで架空の世界なのであって、日本じゃないのですよ。悩ましいところですね。今の私では、デザインに関しては曖昧に濁すことしかできないのです。


 その意味で、犬茶さんが書いてくださったデザインはかなり正解に近いのではないでしょうか。


 SNSで犬茶さんは「和服と鎧というキーワードだけでそれっぽく妄想しました」と語っていますが、和服という要素はおそらく少女剣聖伝の作風がもとになっていると思われます。


 誰に頼まれることもなく、外来語を使わない縛りを課している私。

 必然的に文章は漢字多め、熟語ましまし。ポニーテールと書けばいいのに『馬の尾のような』とわざわざ形容したり、メイド服と書けばわかりやすいのにわざわざ侍女服と書いたりしていたせいで、日本風な印象を持ってくれたのでしょう。使っている武器も刀ですしね。


 聞けば、リリアムVer、ヴィオラVerも描いてくださっているのだとか。

 個人的にはヴィオラがどういう風になるのか楽しみです。このテイストでメイド服ってどう表現するんでしょうね。今から公開が待ち遠しくてたまりません。


 犬茶さんに限らず、こういうイメージイラストは大歓迎です!

 架空の和装にチャレンジしようかなと思っている方がいたら、是非、うちの娘でやってみませんか!?(図々しい)

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