第138話 ドラゴンノベルス小説コンテストのあれこれ
2023年5月1日。
第五回ドラゴンノベルス小説コンテストが開催れました。
私にとって、このドラゴンノベルス小説コンテストはとても思い入れのあるコンテストです。
はや五年前。
第一回目の開催を友人から聞いたのがきっかけとなり、それまで執筆から離れていた私は意を決して、PCの中でひっそりと温めていた「ファウナの庭」を投稿することにしました。
結果は芳しくありませんでしたが、これが私の執筆の転機となり、それからカクヨムでの執筆活動が始まったのです。
多くの読者様、多くのフォロワー様に巡り合えたのは、このコンテストに参加することができたからだと思っています。
そのドラゴンノベルス小説コンテストも今年で五回目。
従来とは異なり、新たに「今、編集部が読みたい作品」というお題が二つ設けられています。その一つが、
【ドラゴンノベルス編集部からのお題①】
ひたむきに我が道を歩むヒロイン(女性主人公)作品、求む!
……というもの。
告知を読んで、ピンときました。
これは、私のためのコンテストだ、と。
仕事の多忙さ、プライベートの変化、先行きの見えない将来への不安。様々な理由で筆が遅くなった私ですが、この「ひたむきな女性主人公部門」というものは、現在私が執筆を続けている「少女剣聖伝」とのシナジーを痛烈に感じました。
しかし、「少女剣聖伝」は現在、様々な壁にぶつかっている状態。
ライブ感覚で書いていたために初期プロットから大幅にズレ始めたストーリー展開。矛盾や不適切を孕んだ設定。登場キャラクターへの不信感。その他もろもろ。精神的に続きを書く、ということが難しくなってきていたところです。
今年の頭に「いっそ改稿したい」という思いをエッセイにして意見を募集したこともありました。コメントでも「いいんじゃね?」と有り難いお言葉を頂き、少しは前を向けた私ですが、それでも手を加える決断をするには至りませんでした。
そこで、今回のドラゴンノベルス小説コンテストです。
「ひたむきに我が道を歩むヒロイン(女性主人公)作品、求む!」
その一文を見て、これはまたとない機会だと確信しました。
「少女剣聖伝」を再開させるとしたら、ひたむきヒロイン部門しかないと。
そして、再開させるとするならば改稿ではなく新作として出したかった。
とはいえ、私には時間はない。一からすべて書き直すことは不可能。焼き回しと言われても、あくまで既存原稿の改稿という形式を取らなくてはなりませんでした。
内容はほぼ変わらないものを新作と呼んでいいのか。
作業を始めた時からずっと私に付きまとう疑問でしたが、だったら、一回読んでくれた読者でも楽しめるように新規エピソードを加えよう。これまでの物語をより引き立てるようなストーリー構成にしよう。付け足すだけじゃなく、適切な順序にすることは「改稿」では不十分だから、新作である意義が生まれる……と思う。たぶん。
そんなこんなで、来る5月3日。
「少女剣聖伝」は「新約・少女剣聖伝」として新作投稿されました。
コンテストを通じて、私が産み出し得る最大の「ひたむきヒロイン」がどれだけの読者様に受け入れられるのか。期待と不安でいっぱいです。
GW中はできるだけこまめにアップしていきたいと思います。
どうか、寛大な目で見守ってください。よろしくお願いします。
◆◇◆◇◆◇
以下に、旧作版「少女剣聖伝」を読んでくれていた読者様に向けた主な変更点を記載したいと思います。「新約」と読み比べてもらえると嬉しいです。
【変更点①】「難解な表現をやめる」
校閲してくれた友人が真っ先に指摘したことがそれ。
「古めかしい言葉を使うな。難しい漢字を使うな。お前の作品を読む人間は、お前のように難解な文章に寛容じゃない。自分には難しいと思った時点でページを閉じる。現に私もわからない単語が出ると意味を調べるために読むのが止まった。時代小説風にしたいかもしれないが、できるだけ無くせ」
いちいち耳から血が出ます。なので、読みやすい文章になるよう心がけました。
配慮の基準は、友人の赤ペン。
ちなみに外来語縛りは止めたくないと駄々をこねたら、「じゃあ、死ぬほどルビを振れ」と言われました。なので、ルビは圧倒的に増えています。
【変更点②】「ベルイマン男爵からベルイマン伯爵へ」。
友人曰く、マルクスの設定・描写からすると爵位は男爵よりも伯爵の方が自然とのこと。物語上ではあまり意味を持たない部分なので、そのまま置換。不都合が出てきた場合は改稿します。たぶん大丈夫じゃないかな……。
【変更点③】「ベルイマン古流からエリム流ベルイマン派へ」
むしろ、初期案に戻したと言った方がいいかもしれません。
どこかで書いた気がするのですが、再度説明します。
作中で登場するベルイマン古流は、古代においてエリムという一族が開発した対竜戦闘技術が基礎になっており、それが後世に伝えられ、時代の流れとともに対人剣術に変化しました。
そういった経緯もあり、あの剣技はエリム流、またはエリム古流というのが正式名称だったのですが、「旧作」執筆時、余計な固有名詞は読者を混乱させると思って、シンプルにベルイマン古流と書いていました。
当初は違和感がなかったのですが、ただその、なんといいますか、ちょっと息継ぎをミスるとちょっと卑猥に聞こえるじゃないですか。それに気づいた時「あちゃー、やらかした」と思ったんですよね。
なので、「新約」を機に修正しました。
【変更点④】「話数の変更」
旧作はキリがいいところまで書き上げて逐次アップする方針でした。
なので、文章量は安定しておらず、短いもので1話2000字、長い物で9000字とバラつきがあります。平均すると一話あたりは5000字くらいかな。たぶん。
1エピソードにおける適切な文字数というものにセオリーはないのでしょうが、一般的には3000字程度が望ましいと言われています。
その理由が、
「縦読みの、じっくり腰を据えて読む紙の本だったらそれでもいい。でも、カクヨムは文庫本じゃない。WEB小説は、学生や社会人や主婦が、空いているちょっとした時間で気軽読めるコンテンツ。そのちょっとした時間で読めるものでなくてはならない」というもの。
今更ながら、その理由に得心し、「新約」では一話を3000字ほどで区切ろうと思った次第。
なので、旧作では一話に収めていたものを数話に分割しています。
【変更点⑤】「追加エピソード」
校閲をしてくれた友人曰く、主人公であるローザリッタが一番感情移入できないキャラクターになっているそうな。
物語の顔でありながら、それは由々しき問題。
とはいえ、新規でいろいろ書き直すのはとても大変な作業。従来の路線を変えることなく、どうやったら好意的に受け止めてもらえるか尋ねたところ、
「ローザの過去話を最初にもってくればいい。結局はローザの事情が分からないから、読者は表層だけで判断してしまう」らしい。
確かに、ローザリッタの過去についてはもったいぶりすぎたかもしれない。
反省。
なので、さっそく序章から追加エピソードを実装しています。「伝説」は犠牲になったのだ…。
このエッセイ執筆時点で完全新規エピソードは序章だけですが、他にも追加する予定なので、お楽しみに。
【変更点⑦】「タイトル」
せっかくなので改題しようとも思いましたが、まったく思いつきませんでした。
あまりの思いつかなさに、AIチャットにお願いするくらい。
時間ばかりが過ぎていくものですから、ど直球に「新約」としました。波括弧の中は正直、AIチャットの返答が面白かったので、そのままにしています。
他には「少女剣聖と魔法使い、それぞれの使命と決意――混沌と戦い続く異世界で」や「幻想の刃を継ぐ者たち――少女剣聖の誕生と共に動き出した運命の歯車たち」などを候補として用意してくれました。いやあ、最近のAI技術は凄まじいですね(?)
真夜中に時のテンションでやったことなので、こっそり修正される可能性があります。
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