第6話 スピンオフについてのあれこれ

 ――完結した作品のスピンオフなど書かれる予定などは無いですか?

 私はたまに『せめて炊き立てのご飯を』の続きというか、パラレルだったり、そういう二次創作的な話を想像したりします。また師匠の活躍する姿(天然なところ)が見たいです。


 偽田中一郎様より近況ノートを通じてコメントを頂いた。

 さっそくお便り(?)が届いて、筆者感激である。どうせそのうちネタに困るだろうから、こういう質問は大歓迎だ。


 質問に登場した「せめて炊き立てご飯を」はカクヨムにおける二番目の長編だ。

 長編……?

 いや、8万字を超えていないので中編だ、中編。


 2019年、1月末。

 炊き立てご飯の最後の更新を終え、完結をクリックした私が意気揚々と「最近完結した小説」の項目をチェックしに行った時、この表題は表示されていなかった。


 理由はおそらく、8万字に到達していなかったからだろう。

 どうも8万字以下の作品は完結してもトップに表示されないらしい。文字数指定すれば問題なく表示されたのだが。でも、どうせだったらみんなが目に留まるトップ画面で完結したことをドヤりたかった……。なので、それ以降は単発読みきりでもない限りは8万字を最低限の目標にしている。


 しかし、こういうコメントは非常に嬉しい。

 続きを書いてくれ、なんて言われて嬉しくない作家は存在しないんじゃなかろうか。


 こういうことを言われると、書きたくなるのが私というものなのだが、現在執筆中の作品がある以上、軽々しく新連載を始められないのである。

 え? このエッセイは?

 HAHAHA。これは作品ではない。私の吐瀉物だ。


 長編を書くのは難しいが、気晴らし目的の短編であれば実現するかもしれない。

 現に「ファウナの庭」は完結した後もちょこちょこ外伝を掲載している。

 もっとも、TVなどで面白生き物特集を観賞して「異世界生態系書きてぇ」と思った場合に限られているが。


 スピンオフじゃないにしても、クロスオーバーは既に果たしている。

 外伝における「せめて焼きたての魚を」がそれだ。「ファウナの庭」と「炊き立てご飯」が同一世界観であることを利用したお遊びである。


 ついでに言えば、現在執筆中の「少女剣聖伝」もちょっとだけリンクしている。

 もしかしたらお気づきの方もいらっしゃるかもしれないが、あれは時系列が過去の話なので、ローザリッタがファウナや師匠と出会うことはないと思われる。

(ついでにいえば、ちょっと矛盾というか、設定変更が発生している。そっちのほうが面白いと思ってやっちゃったけれど、まさか二度も折る羽目になるとは……)


 もともとシェアード・ワールドの構築したいという願望から生まれたエインセル・サーガ世界なので、こういった点と点をつなぐ遊びはもっとしていきたいと思うが、ストレートな続編は今のところ予定がありません。残念ながら。


 ……ただし、構想そのものはなくはない。


 私は物語を書く時は、たとえそれが一巻で終わるものだとしても、その中に二、三巻に続く余地を残しておくべきだと考えている。

 そうすれば、いざデビューした時に続きを書いてくれと言われても、すぐにネタを出すことができるからだ(まさに捕らぬ狸の皮算用!)。


「炊き立てご飯」執筆時に残した余地は、主人公である「僕」の実家事情である。

 作中では商家であるとしか書いていないので、それにまつわるエピソードが展開されるのではないだろうか。


 例えば、曰くつきの太刀のようなものが質流れで手元に来て、それが原因で厄介事が起きる。本編最終話で金銭的に困窮してしまった師匠は事件解決を引き受けざるを得ない。それが〈大戦〉にまつわるものだとすれば、泰平の世が続くことを願う師匠は積極的に関わってくれるだろう。


 また、「僕」の許嫁が登場しても面白い。

 小さい頃からずっと想い続けていたのに、そんなことは一切覚えていない「僕」は師匠に鼻の下を伸ばっぱなし。それに危機感を覚えてお風呂に突撃しちゃうような、ちょっと必死な娘さんだと実に私好みである。


 あれから師匠も精神的に少し成長しているので、熱烈アタックされている「僕」を見てちょっと拗ねたりするかもしれない。想像すると、まあ楽しいものである。


 現時点では妄想の域を出ないが、機会があれば実現したいものだ。

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