第7話 度量衡についてのあれこれ

 度量衡どりょうこうというのは、わかりやすく言えば単位のこと。

 長さ、体積、質量を指す。

 異世界ファンタジー書きの諸兄におかれましては、執筆するうえで必ず悩む部分の一つと思われる。


 何に悩むって?

 ――架空の単位にだよ。


 せっかくの異世界なのだから、それっぽさを出すために架空の単位を使いたい!

 その気持ちは大いに理解できる。せっかくなら自分の世界にオリジナリティを与えたいし、異世界の情緒に浸りたい読者からしても、作中でメートル法などを見てしまえば「この世界にタレーランいるの!?」といきなり現実に引き戻されてしまうだろう。


 かといって、易々とオリジナルの単位を用いるのもどうか。

 異世界感アップする。そりゃあ間違いなくアップする。

 しかし、同時にわかりづらい。読みづらい。


 例えば、私が学生時代に無茶苦茶やり込んだ「テイルズ・オブ・エターニア」には天文学にちなんだ様々な架空の単位が出てくるが、あの世界の長さの単位の一つにカランゲというものがある。


「インフェリアの地表からオルバース界面までの高さは30カランゲ」。

 ……という風に作中では表現されるが、どれくらいの高さか一発でイメージできる読者はどれくらいいるだろうか。

 私も含め、当時のプレイヤーがそういった独自の単位をすんなりと受け入れられたのは、OPムービーやゲーム内の映像で「だいたいこれくらいの高さ」と視覚的なイメージ像ができているからだ。文章だけだとけっこうきつい。


 しかし、安易にカランゲ(=333.3m)とか解説なんかを付け足した日にゃ、空想と現実とがごっちゃになってしまう(私だけかもしれぬが)。


 読みやすさと、異世界らしさ。

 その両立に四苦八苦しているのは私だけではないと信じたい。


 もちろん、カクヨム界隈には「ぬるいわ! そういう難解さがあってこその異世界ファンタジーよ!」と豪儀な読者も大勢いらっしゃると思いますけどね?


 その両立に近いのは、ぱっと思いつく中では「覇王大系リューナイト」か。

 例として主人公、音速のアデューを挙げてみる。

 身長159シン、体重52ズッシリ。


 これを見てくれ。こいつをどう思う?

 ……すごく……わかりやすいです……。

 そう。この表記を見て、読者は「あー、つまりシンはセンチ、ズッシリはキログラムね」と思うだろう。

 我々が良く見かける数字の並びによって、架空の単位でありながら直感的に内容を理解できる手法を取っている。こういうシンプルさも見事なものだ。真似したい。


 ちなみに、ヒロインであるパッフィーのスリーサイズは……おっと、今日はそういう話ではなかった。


 これは未だに私も頭を悩ませている部分ではある。

 とはいえ、「小説を書き始めたきっかけ」編を読んでくださった方々はご存じだろうが、カクヨムに登録したばかりの私はとにかく書き出すことが最優先だった。


 なので、カクヨムで連載を始めるにあたって、そのあたりの考察を一切合切取り止めて、大きさを表す時は極力比喩表現を心掛け、それでも明確な数字が必要な時は尺貫法で代用するという手法を使った。


 尺貫法自体は現実の単位ではあるが、現代人はほぼ馴染みがない単位だし、フィートやポンドより理解しやすいだろうと思ったからだ。


 それが成功したかどうかは正直自信がない。資料集でも書いたけれども。


 どなたか、この問題についての解決案があれば私に教えてください。

 パク……いや、参考にさせていただきますので。

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