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「ズワイさん! こいつ、どっか行っちゃいますよ!」


 鉢合わせになるなり人を指差し、あろうことか、こいつ、呼ばわり。思わず青筋が立ったが彼女の言うことへの俺の疑いはまだ晴れたわけじゃないことも知ってる。それに赤く腫らした目元はそのままだった。彼女にとっては悲しいことの連続だったんだろう。……てか、こいつは俺が何処かに行ってしまうことを知ってるらしい。まずい事態になった。


 ここを振り切って逃げたかったが、俺が動くより早くズワイは細い目で俺を射抜き、「やっぱり」と呟いた。それだけじゃない。ピンクは俺にレイガンを突きつけた。俺は仕方なくズワイに居直ると、


「ヒラ。平井艦長は殺された。そいつはマドゥームを名乗った。だから調査しに行く」


「あんたが殺したんでしょ!」


 こいつはピンク。


「あら? 聞いてなかったわ。そんな重要なこと」


 こいつはズワイ。


「死体はとってあるんだろ? 灰色のロボット警備員のふりをした奴。二体の内どっちでもいい。首筋を確認しろ。黒い蝶か幼虫のタトゥーがあるはずだ」


「一応、確認させるけど。それがマドゥームのマークなの? 聞いたことないわね。彼らが固有のマークを使ったなんて」


 ズワイはホログラフの前で指を横に移動させ、どこかを押し、そのまま誰かと話すように俺が言った特徴を持つ死体を探させるように連絡を入れる。そこからは緊迫した長めの時間があって、折り返しの連絡が入った。ズワイは溜め息を吐いて言った。


 何処か悔しげにな。


                                  続く

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