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 さ、コントの始まりだ。ウィーン。艦橋の自動ドアを抜けると昔にやってた機動戦士とか宇宙戦艦とかで見たあの風景が広がっていた。つまり、宇宙空間が見える窓があってその周りには座った連中がコンピューターと格闘していて中央の台座にはこの戦艦の現在のホログラフがある。そして、その台座で手を付いている女、めかしこんで老けてきた自分の顔を隠している女が俺に用事を持っている相手だった。赤い制服はボディーラインピッチリに整えられ、豪奢な勲章(バッジ)を二つ左胸に付け、如何にも軍人らしく背筋を伸ばしたそのお姿はなんとも……鼻につく。彼女はズワイ、足高 ズワイ暫定艦長様だ。


 俺が入ってくるとズワイは睨みつけたホログラフそのままに視線を俺に移して言った。


「やっときたの? もう日が暮れたかと思ったわ」


「へえ? 今何時だ?」


 「十二時よ」そう言いやがったんでAかPか聞いてやろうと思ったんだが止めた。俺はさっさと用事を済ませてやりたいんだ。


「それで、何の用だ? ドックを放射線で汚染したことならとっくに謝ったと思うが?」


「そうね。それはもう済んだ用事。だから違うことよ。ドックのことだけれど」


 なんだと聞いてやるとどうやらこういうことだった。俺は自分の船があるドックで自分の船を爆破した。燃料タンクを消しとばしてやったから跡形も無くなったと思うかもしれないがそうじゃない。あの反発性爆発のおかげで吹き飛んだのは燃料タンクだけだった。だが、三番ドックは汚染されている。そこで俺は船外活動用の工業用大型ロボット「ジオアーケン」を使って俺の船を三番ドックから無理やり取り出し、そいつを二番ドックにぶち込んだ。代わりに二番ドックあったノラへ向かう定期便を放り出してな。で、俺の船は二番ドックで鋭意修理中だ。ズワイは暫定艦長としてそのことを咎めたかったわけだな。


 この委員長タイプめ。



                                  続く

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