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「おい、黙ってろ、この犯罪者ども!」
今日イチの大声で叫び返してやった。奴らは一瞬怯んだ。何故って、俺の声が奴らの罵詈雑言よりも大きかったからだ。だが、連中、一瞬にしてまた騒ぎ始める。じゃあ、もう一度。
「おい! 黙れ! いいか。俺は間違いでここに入ったんだ。誰かを殺したお前らと違ってな。このクソったれ野郎どもが!」
連中はまた一瞬黙り、再び騒ぎ出す。俺も出せ。なんでお前だけ。俺が危惧した通りに俺が監房から出たと誰かに向かって言う奴までいる。俺は焦って躍起になった。
「は!」と言って静寂を作ると……、つい、煽ってしまった。
「悔しかったら今すぐにそこから出て俺をミンチにしてみやがれってんだこの能無しのバカ野郎共! は! できるか? できないよな。ボクちゃん、ここから出るとバラバラになっちゃうから出れないの〜ってか。あ〜ざまぁみやが……」
ここで暗転だ。刑務所の電気が何故か全部消えた。何故か全部だ。つまり……。
「おっと」
次には赤い非常灯が点き、俺と、俺たちは赤黒く映る。眼の前では見えない光線の無くなった部屋から化け物たちがウヨウヨ、ウジャウジャ、とんでもない数が出てきた。全部の牢からな。奴らは俺を見ている。腕を組み、或いは指を鳴らし、他には舌舐めずりをする連中すらいる。
俺は丸裸の状態で丸裸の怪人共と仲良くお茶をしなくちゃならなくなった。
続く
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