1-14


 それで俺は窓の無い医務室から窓の無い牢獄に移送された。ああ、なが……。すまない。まだ録音は続く。因みにこの監獄には別室とはいえ極悪危険宇宙人兼犯罪者が大量にいる。そしてその内の六人は俺に唾を吐き罵声を浴びせた。その六人てえのは俺が捕まえた連中だった。名前は知らない。言われても覚えてない。


 俺の監獄はT−八〇〇だった。聞いたか? 間違いじゃ無いぞ。未来から殺し屋が来そうな部屋で今にも殺しにかかりそうな囚人たちに囲まれて生活する羽目になったんだ。一体どうして? 簡単なことだ。俺は誰かに嵌められた。恐らくワイルドリッチのクソ野郎に。奴は土を集めて人形を作る。つまりある程度土を操作可能ってことだ。つまり……そういうことだな。


 俺はボロボロのベッドに横になり考えた。俺はこの後どうなるのか。死刑ってことはないだろうが……いや、レンジャー殺害だ。銀河の只中に放流されるか普通に撃ち殺されるかだろう。だから冤罪を晴らすためにも、生き延びるためにもここを出て行かなきゃいけない。脱獄はある意味でロマンだが、リアリストにとっちゃ絶望の淵だ。


だが、幸いなことに俺はどっちでもない。



                                  続く

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る