十話

親友の死を見ても…


一人は普通にしていたよ。



ここでよ…

決まりきった台詞は、あいつらには必要ないんだろう。


そういうのはよ…

物書きや小説家の仕事だ。



ああ。


勝てない事は…

奴も十分わかってる……


狩人であろうが、何であろうがよ……

百戦廉磨の人間は、これだけは絶対にやらない。


だが…

覚悟を決めた男が…

最期に選ぶのは…




特功だ。




だが…

邪龍も馬鹿じゃない。


馬鹿な人間を…

真っ青な口を開けて待つ。


そんな事は百も承知で突っ込んでよ……





何だ…その眼は…

俺達が怖い……か?






肉が破れ…

上半身と下半身が千切れかけながら…


一人は…

邪龍の眼を、冥土の土産にした。




最期の仕事は、人間の恐ろしさを…


龍どもに刻みこむ事だったのかもな…





二人の眼孔は…


死んでも…

ほのかに笑みを浮かべ…


飛び去る邪龍を…

ずっと睨み付けていた。




まだ…

生きていて…



喧嘩を売るかのように……

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