第122話 カッパ小豆洗べとべと

「静で平和な森だったのに、何で人間が増えたの?」

希薄で生気の無い青白い娘、消滅を免れた、一族最後のべとべとが悲しそうに言った。


「小さいけど、池があって住良い森だったが、場所変えせんとダメかな」

カッパのガ太郎が言い、黄桜とゴ太郎が相槌を打つ。


「私達は、入り込む人間と争う事になっても、ここを動きたく無いわ」

可愛い幼女に見える、小豆洗の長老アズキが言い、5人のやはり幼女に見える小豆洗達が大きく頷いた。


「アズキ長老が戦う気なら、俺達カッパも協力するぞ」

「私は役に立たないけど、皆と一緒にいたい」

べとべとは、膨大な憎しみを向けられると、消滅してしまう。

儚い存在のべとべとだが、孤独より消滅覚悟の戦いを決意した。



戦う気持ちは有れど驚かすだけ、小豆投げの小豆洗達、相手を相撲で投げて水中に引き込むカッパ達、後ろを秘かにつけて行くだけのべとべと、総勢9人で、いったいどう戦うか作戦会議しても、良い案は浮かばなかった。


「こんな時大王様が居て下されば······」

「山姥大王様ぁ!!!」




「読んだか?アズキ」


「まっ?···ふぇ~~んっ山姥様ぁ~逢いたかったぁ!!!」

「よく頑張って生きていてくれた、もう安心じゃぞ!」


「「「「「「「「大王様ぁ!!!!!」」」」」」」」



「こんな不便な所より、安心して暮らせる場所、一寸族やコロボックル達の住む村に、連れて行ってやる」


「他の妖怪達が、居るので有りますか?」


「ガ太郎も久し振りじゃな、大勢居るぞ直ぐに会わせてやる!


べとべともよく消滅せずに、まって居てくれて嬉しいぞ!!」

「大王しゃまぁ、うぅひっくひっく」

「泣くな、喜べ!!」「ふぁいぃ」

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