第97話 茨城童子

署と言うのは、警察本部署の事じゃった。

3階建で白亜の立派な建物じゃ。


拘束こそされて居らんが、連行された形で署内に入った。

連行した男が訊問を始めた。


「さて、お嬢さん、そちらはヒミコさんと名乗られた、貴女は山姥大王と名乗られたが、間違い有りませんか?偽名では不都合が発生しますよ!」

「茨城の奴を連れて来れば、全て修まるぞ」

「貴様ぁ!!国王様を愚弄ぐろうするか!!!不敬で逮捕するぞ!!!」


お決まりの訊問方、脅しとなだめじゃな。

話が通じそうに無い、風に乗せて大声で呼んでみた。

[[[茨城童子!!山姥大王が会いに来たぞ!!!]]]

突然の脳を揺さぶる大声に、怯む事無く取り押さえようと数人の警官が襲い掛かって来た。

ヒミコが、やんわり弾き返して居る。


ドタドタ地響きを立てながら、懐かしい気配が降りて来た。


「何をして居る!!!」

「イバラギ様!この怪しい者を、取り押さえる所です!!」

「ば、バカな真似は止めろぉ!!!」

叫んで大男は、わしの前に土下座した。

「だ、大王様!お久しぶりです?山姥大王様?お美しくなられて!!!」

「今はこの世界の神、マンバ神である、茨城、お前も天照大神様に転移してもらったのか?」

「はい!!酒天の奴が殺された後、天照様がこの世界に送って下さいました!!お前もと言う事は他にも居るのですか?」

「落ち着け茨城!!周りを見ろ!!」


周りの警官署員達は、国王様が土下座して話をしている事が信じられず、呆けて眺めて居る。

気付いた茨城は。

「お前達!!此方のお方は、私の主山姥大王様だ!!!不敬な事はやって居らんだろうな!!!」


周りを取り巻く者達は、理解出来ず納得行かない顔をして居る。

若干二名の顔が青ざめた。


「大王様!積もる話は3階の王室で·····わっ!!猫又の姉様!!!」

「うふっ茨城童子、男に変化して居るの?折角の美女が勿体無い」

「ヒミコ様も化け猫の姿で無く、可愛い姿で!!」


茨城は先頭に立って、わし等を案内しながら、盛んに話し掛けて来た。


部屋に入ると、茨城は昔見馴れた美女に姿を変えた。

わしは元の幼女に戻ったが、ヒミコは今の姿で通すようじゃ。


神の大陸、精霊大陸にベラリカ亜大陸、南大陸を制覇統治下に置いて居る事、この世界に背の目、六郎、大多羅に盂羅、一寸に豆小僧、コロボックルが居ると教えた。


「そんなに大勢の仲間が!!!良かった

マンバ様!私の配下、九尾と分福も一緒に転移して居ります」

「九尾の狐と化け狸の分福か、茨城!良く助けてやった!!」


「このイバラギ大陸のイバラギ王国も、マンバ神様の統治下に入ります」

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