第66話 六郎の遣る気

「わしはよわい800歳、異界から来たマンバ神である!!その者2人はわしの眷属、お前達に同行させる!!シーサラお前の今後の行動如何では、神術を授けてやる事もある、心して仕える事じゃな」


オロチたった一人に完敗した、シーサラと2000の軍は、スゴスゴ帰って行った。

「新領地を観てこい」わしの命により、オロチとチトセがシーサラに同行した。

飛行でついて行こうと、軍勢の前で浮かび上がった二人を、全員ポカ~ンと見上げ、次の瞬間平伏して居った。


「たしか、ご城主様の母君御一行と聞いたが、まこと神のごとき所業·····と言う事は?城主六郎様は神の眷属?」

「当然でしょう!!殿は火の玉で敵を退け、この国を建国された」

「そうだ!!人智を越えられたお方だ!!」

成り行きを観ていた家臣や領民が話して居った。


事故や戦で、手足を無くした者は、この世界では感染症で命を失う場合が多い。

半端では有るが、医療心得のある六郎、この国では手足を無くしても、生き長らえた者が医療所に多くいた。


「人心を掴み取る為、もう一働きするか」


回復医療の光神術じゃが、わしは何にでも効果のある、超強力な薬を思い浮かべ草をモミモミぐちゃぐちゃやって、塗り付け治す。

大怪我をして居る患者を、わしが治して居ると「奇蹟だ!!」

と回りの者達が騒いで居る。


クミはわしの神術を観て、元通りに修復して居ると勘違いして居って、今、光神術で患者の手足を生やして居る!再生治療じゃ!!

悔しい事に、わしには出来ん、イメージが沸かん、が、クミを見習い習得出来るよう頑張らねば、時間なら幾らでもある。


手足が再生した患者達、回りの人達も含め、涙を流しながらクミを「女神様!!」と拝んでおった。

垂れた犬耳を見た事が無いようで、余計神秘的に思うのじゃろう。


小さなホシですら、きこりに同行して、巨木を鎌鼬かまいたちで切り倒し、崇められて居った。

わしの眷属の凄さを、目の当たりにした六郎が奮起ふんきして、海に向かって鬼火の練習を始めた。

本人に遣る気が出たのを見極め、六郎の側に寄り添い言った。

「鬼火はそうやって繰り返すと威力がどんどん上がって来る!鎌鼬じゃが、六郎深呼吸してみよ!!」

「はい!母上様!す~はぁ、す~はぁ」

「今吸って居るのが空気じゃ!周りに風が吹いて居るのが感じられるか?」

「はい!!少し強く吹いて居ります!!」

「風は動いて居る空気じゃ、手から鬼火の様に風を出してみろ!!」

「えっ?え~と·····こう?ですか?」

海に衝撃が当たった!!

「ん?六郎!!鎌鼬が出来て居るぞ!!!」

「えっ?こんな簡単に?」

「遣る気の問題じゃ!!今六郎は、強く成らねば他の眷属に負けたく無いと思って、一人でも鍛練しようとして居った」

「はい·····」

「要は本人の遣る気じゃ!!」

「次は氷雨の習得、雨は··········」


結局六郎は、氷雨も簡単に習得し居った。

欲の出たわしは、飛行術も仕込んだ。

「良いか六郎!丁度弱い竜巻が出来た、それを身体に纏うんじゃ!!!」

「こう?ですか!!」

「そうじゃ!!で、竜巻が上昇するように操れ!!体が浮かんで居るぞ!!其が飛行術じゃ!!!出来たでは無いか!!!」

「母上様!!!有り難う御座います!!!!!」

「泣くな六郎!お前が遣る気を出した成果じゃ!!こんな短期間で飛行術まで習得した!己を誇れ!!!」

「母上様ぁ!!!」

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