第65話 猛将シーサラ王

「母上様!半島王国の兵5000、併合された南半島王国の兵2500ですよ!!猛将と名高い、シーサラ王を討ち取るなんて不可能、挑めば逆に滅ぼされます!!!」


「六郎、お前この世界に来て、鬼火の威力上がって居らんか?」

「威力?ですか、別にそれ程上がったとは思えませんが?」

「六郎、お前の長所でも有るが、短所としての方が顕著に出ておる」

「意味が解りません?」

「昔からお前は、回りを含め平和なら良しとして、その先を目指さんきらいがある」

「住民の平和維持には、努力しているつもりです」


「平和を維持する為、己をみがく努力をせん、己を琢いて強くなって居れば、坂田金時ごときに、遅れを取るはずが無かった」

「·····私は、どうすれば良いのですか?」

「もう自覚して居ろう!!」


「このままでは明日の昼頃に、お前の王国は攻め滅ぼされる」

「母上様と兄上が居れば、退ける事が出来るはず!!」


「努力を怠る、お前に見せてやる!今回わしも背の目も何もせん!!オロチ一人で対応させる、その後お前の考えが変わらんようなら、六郎抜きでこの大陸全てを征服する!!!」

「あんな女の子一人で、無理です!!!相手は7000以上ですよ!!!」

「オロチが調べて来た、シーサラと言う男が2000の軍を引き連れやって来て居るそうじゃ」

「シーサラ王が2000?それでも、何故一人で?」

「討ち滅ぼすのに、それ以上必要無いからじゃ」



シーサラ王が攻めて来る!!臨戦体制の慌ただしさで、最南端王国は朝を迎えた。

六郎が、住民を安心させる為。

「母上様達が防いで下さる!!皆安心せよ!!!のんびり見学して居る間に、戦いは終わる!!!」

六郎が、本心から言って居らんのが感じ取れた。

見て居るが良い!!


森を抜けず、海岸沿いを進軍してくると、チトセが一報を入れる。

昼前にオロチが迎えるべく、海岸を見下ろす位置に立つ。


見学の城下住民は、いぶかしげにながめて居る。

「小娘一人?何かの作戦か?」


やがて、砂浜を埋め尽くす軍勢が現れた。


オロチが、おだやかに話し掛けた。

「半島王国のシーサラ王とお見受けする、ここ南端王国に何用で来られた!!」

「如何にも、儂はシーサラ大王である、小娘は降伏の使者か?」

「私は城主六郎殿の母、マンバ神様の眷属オロチと申します、神の眷属の私が、貴方方に天罰を落とす為、お待ちして居りました」


「天罰とな?面白い冗談だ!!落としてみよ!!!」

「其では!お許しを頂いたので·····氷雨凍結!!!」


一瞬で2000の軍勢全員が凍結した。

観ていた群衆から、どよめきが発せられる。

数秒間の沈黙の後、大歓声が沸き起こった。


余裕のオロチは、観衆に手を振り、シーサラ王に向い鬼火解凍を行った。

解凍された、シーサラ王は、一瞬でオロチが目の前に現れたように感じたようだ。


「おっ?何をした!!!」

「後ろを見てご覧!天罰を下した!!」

振り向いたシーサラは、凍り付いた軍勢を見て腰を抜かせた。

「な、何が起こった!!!!!」

「貴方が、天罰執行の許しを出されたので、こう成りました」

「なっ?··········」

「降伏しますか?凍って死にますか?」

「·····降伏する」

「貴方のいさぎよさに免じ、今回のみ配下の人達も許してあげよう、半分の1000人を鬼火解凍します」

凍り付いた仲間達を充分確認させ、残りを解凍したオロチは、静かに威圧を込めて言った。

「シーサラ王は降伏した!!今日から貴方達はマンバ神王様の配下です!!!」

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