第64話 南大陸は戦乱状態

夜中なのに城は篝火かがりびが炊かれ、城内も煌々こうこうと灯りに照されて居る。

慌ただしく重鎮じゅうちんと武将が集められ、わし達が紹介された。

重鎮等は、一段高い城主の席に、鎮座増ちんざましますわしをいぶかしげに見て居る。


「皆には、私が違う世界から来たと話したな!!このお方私の母上様は別の世界で、妖怪山姥大王様として君臨されていた·····あれ?あれれ?母上様!!今更ですがお姿が·····随分変わられて?」

「六郎、気にするな!!この世界に来た時、どうやら邪神から新神しんじんになったようじゃ、此から何百年経ってもこの姿のまま変わらん、名もマンバ神と改名して居る」

ホシがマンバのふところから出てきて、肩に乗った。

「はぁ?そうですか·····えっ?肩に乗ってるお前、一寸のホシか?」

「六郎さん、お久しぶりです!!」

「驚いた!!!まさか一寸法師までこの世界に来てたのか·····

一段下がって並んで居られる、左が私の兄上で背の目様!!」

「後の方達は、兄上紹介願えますか?」

「替わって紹介する!皆マンバ神、母様の眷属で、ドラゴン属のオロチ、ケトシ属のチトセ、クーシ族のクミ、ドリアード属のドーリとアード、この中の誰一人取っても、六郎、お前より強いぞ!!お前鬼火以外使えんだろう」

「母上様に鎌鼬を指導して頂いたが、出来ませんでした」

「ここの全員出来るぞ!!鎌鼬の応用飛行もできる、時空神術転移も出来るぞ」

「母上様にもう一度ご指導願って、今度こそ習得します!!飛べないのは悔しいです」


六郎の家臣どもが、不満そうにざわめいた。


「背の目さん、僕を忘れないでよ!!」

「忘れて居った、スラッピ!前の世界からの転生者」

酷い雑な紹介だぁ

スラッピが何か呟いておった。


「六郎!わしは、北の大陸で神の大陸と精霊の大陸それに、ベラリカ亜大陸の統治大王になって居る、この大陸には猫又が居る可能性があり探索に来た、まさか息子六郎が居るとは夢にも思わんかったぞ!!」

「私は一人この世界に跳ばされ、もう誰にも二度と会えないと思って居りました、猫又の姐様がこの大陸にいらっしゃるのですか?」


「話して居らんかったが、大多羅に盂羅、一寸達に豆小僧達、コロボックル達もこの世界に居るぞ!!全員元気じゃ」

「何と!!そうですか·····頑張って生きて居て良かった、皆にまた会えるのか·····」


六郎は「ろくろっ首」の奇形種で、首が伸びず、切れて頭だけ浮遊する変わり者、背の目と同じように、随分虐められておった。

偶然虐めの現場を見掛け、面白い能力と興味を抱き、背の目の弟として、わしが引き取った。

鬼火は、背の目より早く出来るようになったが、その後が全くダメじゃった。


六郎も一寸達と同じく、1年前にこの世界に送られたそうじゃ。

人と殆ど変わらん容姿で、この漁村に入り込むのは容易く、鬼火の特技で人心を掴み、村長の頼みで、当時驚異だった横暴な領主の攻撃を、単身で度々退け、独立国家を設立、城主に修まったそうじゃ。

小国じゃが、海の幸山の幸に恵まれた地で、元々大人しい性格の六郎は、現状で満足して居ると話してくれた。


しかし最近南半島王国の元領主が、強豪半島王国に滅ぼされ、ここ最南端王国を滅ぼし半島平定の為、進軍してくるとの情報から、厳重防御体制を続けて居るとか。


「この狭い半島に3国もあったのか?」

「六郎!その半島王国の領主を打ち取れば、お前がこの半島の領主になるのぅ」


「母上様!!5000の兵の半島王国、無理ですよ」

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