第63話 六郎?の国

皆、確り休養し、肉を腹に詰め込んで元気になった。

闇に紛れて飛行、漁村に到着、辺りは月明かりで良く見える。

「漁村にしては、ゴツい防壁じゃな?」

防壁はおよそ5メートル、村をグルリ取り囲んで居る、何から村を守る為の物か、これだけの物が必要な程、この地が危険と言う事か?


「寝静まって居るようじゃが、全員では目立つ、わしが闇に溶け込んで調べて来る、ちょっと待っとれ!!」

何か言いたそうじゃったが、皆を背の目が抑えておった。

わしは、闇に溶け込み村に入る。

この状態ならば、閉ざされた門など問題無い。

注意して良かった、門の内側には2人の不寝番が居りよる。

闇に溶けたわしには、全く気付いて居らん様子で、眠気覚ましの雑談をして居る。


「この先の領主、また入れ替わったそうだな」

「何処にでも誰でも攻撃する奴で、凄げぇ強えらしい」

「ここ最南端の国は、大丈夫だろうか?」

(何じゃ?この規模で国を名のって居るのか!!)

「ロクロウ様がいらっしゃる、この国を攻め落とせる奴は居らん!!」

(ん?何か聞き間違いか?六郎?··········調べて見る必要が有るな!!)

闇を纏ったまま、静かにマンバは進む。


意外に確りした建物が100軒程続き、一番奥に小さな城が見えた。

「わしの金閣城以外、日本式の城は初見じゃな」

城の主は転移者か、転生者の可能性が有りそうじゃ!

と、独り言を呟いて居る、わしの目の前に生首が浮かんで居る?

「ま、まさか?やはり!!!懐かしい気配がしたので、御迎えに参りました母上様!!!!」

「ん?門番が話して居った、聞き間違いかと思ったが、間違い無い!六郎で有ったか!!お前、酒天童子と共に坂田金時に殺されたんじゃ無かったのか?」

「母上様!まさか、この世界で、お会い出来るとは思いませんでした!!!酒天童子様が打ち取られ、私もこれまでと覚悟した瞬間、黒い穴に飲み込まれ、気付いた時はこの先に有る森の中でした」


「そうか?天照の計らいじゃろうな」

「天照大神様?

母上様!生首のままでは非礼過ぎです!!是非我が城にて談話願います!!!」

「六郎驚くな!お前の兄も門の前に居る!!」

「えっ?背の目の兄者も御一緒ですか?」

「この世界で眷属にになった、供の者も一緒じゃ」


城の中から、六郎の身体が駆けて来て、生首と合体し、わしと一緒に門まで走った。

突然の事に驚く不寝番に

「開門せよ!!!」「「はっ!!」」

六郎の命令に、即座に門が開かれた。


驚き構える背の目に「兄上様ぁ!!!」抱き付く六郎「ん?ろ?六郎か?」

「はい!!!兄上!!六郎です!!!お会い出来て、夢を見ているようです!!!」


呆然と見つめるオロチ達に、「こいつも、わしの息子じゃ!!名は六郎、背の目の弟になる」

「「マンバ様のお子?」」


クールな六郎が、珍しく再会に涙ぐんではしゃいで居る。

背の目も再会を喜んでおる。

暫くして興奮が修まった六郎が、

「母上様!皆さん!!さっさっお通り下さい!!!私の城に御案内します」


六郎の大騒ぎで、家屋から住民が飛び出し、状況が解らぬまま、臨戦体制で集まって来た。

「皆の者!夜中に騒いで済まぬ!!私の母上様と兄上が来て下さった!!!」

住民は、このお方が兄様と分かったが、母上様と言うお方が解らぬまま、首をかしげながら見て居る。


「皆安心せよ、母上様と兄上ならば、この世界全てを容易く天下統一して下さる!!!」

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