第49話 ハーピーの島

上空から確認した感じ、二つの火山島が大噴火により、近くの島も飲み込み1つの大島になったようじゃ。

森に囲まれた巨大な山が2つ見えとった、火山活動は何万年も前に終ったようで、動植物にあふれた豊かな台地が続いておる。


100年過ぎておる、猫又の能力なら、何処ぞに住み良い場所を見付けておるじゃろう。

折角見付けた大地じゃ、探索してからでも遅くはない。

船でたどり着いたなら、大陸だと間違う程の大きさじゃ、素通りは勿体無い。


照れて居ったが、最初に見つけた、背の目の名を島に付けた、セノメ大島じゃ。


北の海岸線は、殆んど断崖絶壁、何処に降りても変わりが無さそうじゃが、砂浜になった入江を見つけ、降り立った。

砂浜は、結構広い。

休憩のつもりじゃったが、砂浜が珍しいようで、砂遊び始めよった。

砂遊びする姿が、妙に可愛いぞ。

考えて見ると、オロチもリカにチトセもベラにクミも、遊びたい盛の子供じゃ。


暫く遊ばせて、わしと背の目で辺りの様子を探る。

元は河口じゃったようじゃな、なだらかな砂地がずっと続いておる。

500メートル位の幅の砂の道じゃ。

これを辿って行けば、流れが変わった、元の川にたどり着くはずじゃが。

「マンバ神様、これは何??」

クミが、何か見つけたようじゃ。

「砂金じゃな」

砂浜を見渡すと、所々キラキラ輝いておる。

「サキン?」

「金貨になる金じゃ」

「凄い!!お宝だ!!!」

「母様、この先に金鉱があるようだ!!調査隊を派遣するべきです」

「そうじゃな、旅が済んだらじゃな」

「母様、金ですよ!!!」

「有って邪魔にはならんが、神王国には腐る程有るからのう」


「其より島の調査じゃ!!」

背の目と話をしておる間に、皆は結構砂金を見つけたようじゃ。

折角じゃ、皆が取ってきた砂金で、腕輪を作ってやった。

砂金から取り出した不純物が、紅くて綺麗じゃったので、珠にして腕輪の中央に取り付けた、皆御揃いじゃ。

「「「「「綺麗!!マンバ神様、ありがとう!!!」」」」」

「母様、その紅い金属、日緋色金だと思います」

「何ぃ!!!!!神話に出て来る、日緋色金か!!!!!」

「以前1度、日緋色金の短剣を見たことが、多分間違い無いでしょう」

「金より嬉しいぞ!!実在の日緋色金!!!!!」


「砂の道は歩き難い!皆飛ぶぞ!!」

わしはクミと手を繋ぎ、飛び立った。




「困った·····私達に気付いたようでは無いが、翼無しで飛ぶ怪人達が降りて来た」

「怪人は、5人であります、長」

「一人、同族と思われる者が居ります」

「同族?ハープ族がおるのか!!」

「奴隷に、されて居るとかか?」

「その様には、見受けられません」


隠れて遣り過ごすか、会って要求を聞くか、結論が出ない状態に、間の悪い事にハーピー族までが攻めて来た。


開戦の挨拶をする、ハーピー族の長に

「ハーピーの長!今緊急事態と解って居るのか?」

「ハープの長、緊急事態とは何じゃ?」

「大陸に、翼無しで飛んで来た、怪人達を知らんのか!!!」

「怪人達?何じゃ?それは」

「取り合えず、ハーピーの皆を、この場に降ろせ、怪人に見つ·····見つかった!!!」

「わっ!!!ハープの長!あの巨人は何じゃ!!!」

「ハーピーの長!お前達の派手な動きで、見つかったでは無いか!!!」

「降りて来る!!!!!」

見つかってしまい、隠れるには遅過ぎる、ただ恐れ震える事しか出来ない、ハープとハーピー達。





「あれ?ベラちゃん!あそこに集まってるの、ハーピーじゃ無い?」

「リカちゃん、うん同族みたい」

「母様、降ります?」

「問題無いじゃろ、皆着陸!!」


広場の中央に着陸、ハーピー達が後ずさる。


「やあ、皆さん集まって、何事かのぅ?」

「母様、脅えているようです、穏やかに!!」

「·····わしはマンバ神、神の大陸と精霊大陸を統一した者じゃ、代表者と話がしたい」


見回して居ると、二人覚束ない足取りで、ヨロケながら出てきた。

「私めが、ハープ族の長です」

震える声でベラと同族の男が言った。

(ハープ族?ハーピーじゃ無いのか?)

もう一人の、鳥に人の顔の男が、こちらも震えながら。

「私めが、ハーピー族の長です」

(なるほど、人面鳥ハーピーじゃ、と言うことは、ベラはハープ族と言う事か)

「マンバ神じゃ、これはわしの息子背の目、この子達は、わしの、神の眷族になった、ドラゴン族のオロチ、ピクシー族のリカ、ケトシ族のチトセ、ハープ族のベラ、クーシ族のクミ」


(ま、待て!私達の身の丈3倍もある大男が、子供にしか見えん女の息子だと?)

ハープの長は混乱した。

(か、神の眷族だと?ハ、ハッタリだろ!!信じられん)

ハープとハーピー彼らの神は、この大陸を作った二つの火山、1の神と2の神で、崇め信仰する対象は山である。



マンバ達全員、野犬に気付いていたが、全く危険を感じ無かった為、無視していた、野犬は強者を見抜き、それ以外の補食対象に襲いかかった。


飛んだり、木の上で無く、珍しく集団で地面にいる獲物に、野犬の群が大喜びで襲いかかった。

集団の外にいた、ハープが二人、ハーピーが一人、野犬に食い付かれた。

と同時に、ベラが飛び立ち、鬼火の矢を3匹の野犬に放った。

「「「ギャン!!」」」

瞬時に、噛み付いていた野犬は、焼け死んだ。

更にハープ達を追い回す野犬に、オロチ達が鎌鼬を連射数匹の首が千切れ飛ぶ。

マンバは大声で「オ-ス-ワ-リ!!!」生き残りの6匹が、命令通り揃ってお座りで待って居る。

「伏せ!!服従!!!」

6匹揃って、寝転び腹を上に向けた。

クミは噛み付かれ傷ついた、3人の治療をしている。


7匹の野犬の死骸と、脅え震えるハープとハーピー以外は、何事も無かったような静寂が訪れた。



獰猛な野犬の脅威が去った、怪人に助けられた。

神の眷族、特にハープ族の、ベラと紹介された娘が見せた奇跡、あれは人が出来る事では無い。


ハープ族とハーピー族が、ベラに平伏し。

「女神様、我々の救い主ベラ様、女王になってお導き下さい!!!」


凄い皆の中に居るため、自分を特別と思っていないベラは、困った顔でわしを見る。

「ベラが座学で学んだ事は、この世界では知られて居らんことが殆んどじゃ、充分優秀な指導者が勤まる程、凄い知識じゃぞ」「うん·····」

「ベラがやっても良いと思うなら、女王になってやれ」

「マンバ神様と離れたく無い」

「女神女王として、皆の今後を指示し、たまに支援に訪れてやれば、良いのではないか」

「わしもこんなじゃが、神王国の神王じゃぞ」


「·····分かった、マンバ神様の真似をする!!」


ベラは改めて、平伏するハープ族とハーピー族の前に立った。

「皆の希望に応え、女神女王として、そなた達を導いてやる!!」

「「「「「おーーーっ!!!」」」」」

「ハープの長、ハーピーの長、名は何と言う」

「ベムです!」「ベロです!!」

「お前達も早く人間になりたいか?」

「「はっ??」」

「いや、意味は知らんが、私も名乗った時言われた、名を誉める挨拶でしょう」

(違うぞベラ!)


「ベム、ベロ、大臣を命ずる!!私の指針に添って皆を導け!!」

「手始めに、飛ぶのに多少邪魔になるが、服を着ろ!!裸では蛮族だぞ!!」


ハープ族ハーピー族の、衣食住の住居が特に酷い、適当な巨木の幹で寝起きしていて、住居が無い。

女神女王の最初の仕事は、マンバ神様達の協力で、粗末ながらもツリーハウスを、周辺の木に建築して行った。

幹に床を取り付け、丸太小屋を乗っけるだけ、マンバ神様や皆が神術を駆使して、あっと言う間に出来上がって行き、鳥人王国(私の命名)の出来上がり。

一寸恥ずかしいけど、中央の巨木に立派な神殿が建設された。

私の神殿よ!!


使役された野犬達は、鳥人王国の国防要員として、国を巡回しておる。

150センチ程のチビ犬でも、この島で最大では無いが、大型種の部類になる。

女王のベラには、絶対服従の様子、弱い者には使役は出来ん。


落ち着いて来たので、ハープ達の言う1の神、山の周辺調査に向かう。

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