第41話 防衛軍出動

門は、リチラとリチルに手を引かれ、難無く通過できた。

角がある門番と思われる兵が「馬をお預かりし、お世話いたします」

選択置は無い、手綱を預ける。


「父様これに乗るのよ!」

見たことの無い、鉄の箱の扉を開けてリチラが言った。

小さな部屋の椅子に座る、揺れたと思い外を見ると、この部屋が動いていた。

「これは?」

「蒸気自動車って言うのよ!」

リチルが教えてくれたが、解らん!馬無し馬車の名前のようだが。

御者は、リチラ、リチルと同じ耳を持った、獣人のようだ。


あっと言う間に城に着いた。

馬車より速いが、景色を見る余裕はあった。

街並みは、戦闘が起こった痕跡は無かった。

(ナイチ聖国は、どのように滅んだのだろう、人だけが消滅したとしか思えん、綺麗な街並みだった)

「住民は種族は解らんが、獣人が殆んどのようだな」

「父様、マンバ神様が教えてくれた事だけど」

「私達は獣人じゃ無いって、聖霊種のケトシ族なんだって」

ケトシ族?聞いた事が無いぞ。

「門番さん、角があった人が、聖霊種の鬼族で、弓を持った綺麗な男の人がエルフ族」

「工房や商店で働いていた、背の低い綺麗な人達はホビット族」

「獣人は別に居るって、クーシ族とか」「クーシ?」「犬耳の獣人よ」


「これからお会いする、ケトシ族の子供達は、全員マンバ神様の加護を受けた眷族様」

「転移の神術で、私達を迎えに来てくれた、眷族様達」

「ゆらにピカの原因か!!」

「父様、マンバ神様は、幼女にしか見えないお姿だけど、失礼な態度取らないで、側近の怪人に叱られるよ!!」

「怪人?」

「マンバ神様を追って、異界からやって来たマンバ神様の配下、人に似た怪人よ!!」

「その人達の中でも、子供に見えるナオ様とテツ様は、規格外だよ!!、お一人で世界を滅ぼす力を御持ちなんです」

「ナオ様?テツ様?」

「得にナオ様は、盂羅様や鬼族を配下に置く、魔王様だって」

「ちょっと待て!マンバ神様は魔王を配下にして居るのか!!!」

「ナオ様はお優しい方だよ、配下の盂羅様が恐ろしいの」


心臓が止まる程驚いた!!!

突然、闇から子供が二人、ゆらっと現れた。

「私が奈王様と呼ばれる、ナオです」「オレがテツだ」

「様子見の無礼をお詫びします」

「ガキンチョに、会わせる価値があるか見極めていた」

(儂を監視してたのか、どこから?二人の話が出て直ぐに現れた、最初から近くに居たのか?ガキンチョとは?マンバ神様のことか??)

娘達の手前動揺は隠したが、内心混乱が治まらん。


ナオ様とテツ様二人に会議室前に案内され、ドアの警備兵が最敬礼で扉を開けてくれた。

警備兵の態度を見ても、二人の権威は感じられたが、子供にしか見えない、世界を滅ぼす程、強そうには見えん。



使者を無視し、帰してきた偉そうな集団と思って居たが、今回も意表を突かれた。

100人程全員が起立して迎えてくれた。


唯一正面中央に位置する幼女のみが座って迎えた。

机から顔のみ覗かせた幼女が「その席に座ってくれ」と言って、儂が座ると。

「全員着席!」と号令をかけた、隣の男が幼女を抱き上げ椅子に座らせた。

幼女の背が低い為、着席している様に見えたが、起立して迎えてくれて居たのか。

ナオ様とテツ様は、マンバ神様の右隣に空いて居た席に座った。


「ようこそ精霊王国に!貴方が来るのを待って居た、アーム-ストロング-ルーマ殿」

幼女が声を掛けてきた、この幼女がマンバ神様で間違い無いようだ。

儂の名前は、リチラとリチルが話したのだろう、フルネームには驚いたが。

「マンバ神様、お会い出来て幸栄です、会話の機会を与えてくれて、感謝します」

「会話の機会を与えられたのは、リチラとリチルの功績じゃ感謝しなさい」


「「父様なら、単身でも私達を探しに来て下さる!」と言って居ったが、その通り単身で武器も持たずやって来た、面白そうな男に興味が湧いたからじゃ!!」


辺りを見回す余裕がやっと持てた。

リチラ、リチルと同じ耳の子供達が、壁際に立ちこちらを観ている。

マンバ神様の眷族の、え~と、ケトシ族だったか?

ナオ様の後ろには角の大男が警護か?控えて居る。

テツ様の隣にケトシ族の子供が5人続いて座って居る、子供みたいに見えるが違うのか?

マンバ神様の左側は··········

5秒位か、ここまで眺めて居ると、マンバ神様が話を続けた。


「率直に言おう!!アーム-ルーマ殿、貴方に反乱軍を従えて、チスナ皇帝と1000の近衛、人類至上主義者を討ち取り、ルーマ王国の国王になってもらう!!」

「えっ??何を?突然!!!」

「異論は認めん!!ナイチ聖国の後ろ盾が無くなり、チスナ皇帝の権力は無くなった!!」

「人類至上主義者を取り除けば、20年前のルーマ王国に戻せる!!!」

「貴方は、旗頭になってもらう」


「チスナと側近それに、お抱えの近衛達、害虫駆除の実働隊は、防衛軍0番隊、第0小隊10名と、遊撃担当ナオと副官テツ」

「ナオとテツは入城後即、皇帝と側近の駆除、第0小隊は近衛を速やかに消滅せよ」


「アーム殿は、中央広場で兵達と市民に演説を行ってくれ」

「内容は、本日よりこの国はルーマ王国に成った!!私、アーム-ストロング-ルーマが新制王国、初代国王に即位する!!」


「速やかな達成を祈る、直ちに取り掛かれ!!」


将軍アームは自軍との合流を急いだ。

全力疾走でシルバーを走らせ到着と同時に、チスナ皇帝の監視兵300を拘束させた。

「将軍!貴様は帰還後処刑が待っておるぞ!!」

監視のゴミムシが何かほざいて居る。


副官指揮官全員を召集、詳細命令を訓示、直ちにチスナ帝国に進軍。

ただ、少し不安が残る、第0小隊とナオ様とテツ様12人で1000人以上の対戦が可能なのか、しかも飛んで来て合流とか。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る