第39話 精霊王国
「ナオ様凄かった、怖い位強かった」
「真っ赤に燃える、火の精霊王みたいでした」
「ナオ様って物静で、優しい感じなのに、そんなに凄いの?」
「何百人居たか知れない敵を、建物ごと粉砕するんだもの、身体も凄く頑丈みたい!」
「えぇーー粉砕?」
「建物にドーンと、ぶつかったと見ると、人も建物も吹き飛ぶんだよ!!」
「私達が襲われそうになって、恐くて動けなくなってた所に、駆け寄って」
「大男を引っ掴んで、棍棒替わりに振り回し、敵を凪ぎ払ったの!!」
「へぇーー」
「それに見上げる様な巨人、恐ろしい怪人ウラを舎弟にして、ウラなんてナオ様に姐さん姐さんって、ペコペコし通しよ!!」
ナオの本気を、初めて見たチャイとチャミは、帰って来て、興奮ぎみにケトシ達に話していた。
「カズマ様は強いけど、ナオ様もテツ様も、流石マンバ神様の側近だね」
「其より、知ってた?セノメのオジサン、マンバ神様の御子だって!!」
明るく元気になって行く、ケトシ達だった。
「大王様会いたかったっす!!!」
「聞いたぞ!相変わらず、盂羅は考え無しじゃな」
「面目無いっす!ナオの姐さんには迷惑かけたっす!!」
「部下を無駄死にさせおって、鬼族のニオル達とは情報共有して居らんのか!!」
「はぁ、儂らは過激過ぎて、ついて来れんとか言われて·····」
「ナオから聴いて、村に治療に向こうたが、220人の内100人程、即死で助からんかった」
「はぁ、助かった120人も、姐さんに脅え当分使い物に成らんです」
「お前みたいな、考え無しの部下は可哀想じゃ!!」
「·····当分の間罰として、ナオの配下にする」
「姐さんの配下なら、喜んでお受けしまっす」
「ナオ、面倒じゃろうが、盂羅と120人の部下の、面倒見てやってくれ」
「··········チョット嫌かも」
「姐さん宜しくお願いっす!!!」
「はぁーー」
(テツは、可愛いケトシ達と、イチャイチャしてるのに、何で私は、角の生えた強面オッサン達と、一緒に居ないと駄目なのよ)
盂羅はナオを姐さんと呼び、部下の120人の鬼族達はナオオウサマと呼ぶ、奈王様と呼んで居るはずが、なぜか魔王様としか聞き取れん。
他の人も、魔王様と呼ぶようになり、一般的には、ナオちゃん魔王様になりおった。
ナオちゃん本人は、奈王様のつもりで聴いて居る為、気にして居らんが、風評被害で勇者が、討伐に来なければ良いが。
おうっ!そうじゃ、この国の名前が決まった!!
子供達が、自然に話すのを聴いて居って、何度も出てきた「精霊王国」に決定した。
東側から近くの村人、順にかなり遠くの村人まで、ケトシ達が精霊王国に移住してきた。
早い者優先に、好きな住まいを決めて貰い、城の近くから順に、居住区が埋って行った。
やがてニオル村長が、大勢の鬼族とエルフ族、それにホビット族を引き連れ、移住してきた。
ホビット族は細かい細工や、家具等を造るのが得意とかで、工房や工場商店を選び、住居も工場周辺を選んだ。
鬼族とエルフ族は、町の防壁の近くに住居を決め、国の防衛を担ってくれるようじゃ。
野菜やいも類の農園は、防壁内にあるが、麦畑や水田は広大な為、町の外にある。
ケトシ族53人の子供達が、世話をしてくれて居たが、ケトシ族の大人とエルフ族が引き継いでくれたようじゃ。
チャイ達が、神術の指導をして居るが、今の所、移住者には一人も拾得した者が居らん。
チイトも、チョモ達と一緒に、移住者達に精霊魔法を指導して居るが、これも一人として魔法が使え出す者が現れん。
大人は考えが凝り固まって、柔軟な思考が出来ん様になっておるようじゃ。
じゃが、然し53人の子供達と、同じような年頃の子供が習得出来んとは、解せん!!!
コッソリ、風に言葉を運んで貰うと
「儂らには無理な事」「あの子供達は特別」
「マンバ神様の加護を与えられ、眷族になった特別な子供」
そんな先入観が邪魔をして、一人として本気になって居らん。
ま、皆が神術使えんでも、問題無いか!!
わしの加護を受けた、特別な子供達として、敬わせるのも今後の為には得策かも知れん。
そう言う事か!!!ニオル村長が、あれ程信望があるのも、わしの加護を唯一与えられた鬼族として、鬼族だけで無くホビット族エルフ族まで、指導者として導いて来れた。
子供達の、誰かでも良いと思うて居ったが、ニオル村長を、初代国王とするのも良いかも知れん。
人数だけ増えて、国としてやって行けるか?
何より精霊族の国、ナイチ聖国の賛同者は多い、敵対行為を退ける防衛力は有るのか?
過保護かも知れんが、ここまでテコ入れしたら、最後まで面倒見なければ!!!
大地の神術、土精霊魔法の上達の為、子供達53人全員を召集し、防壁の補強をして回る。
10人に飛んで貰い、辺りの偵察を任せる。
この子達は、何でも出来る様になった。
威力も凄い。
唯一まだ教えて居らん、電撃は使えんが、それも時間の問題じゃな。
防壁の補強も終り、農作物の収穫作業に忙しい時期に南から軍勢が攻めて来た。
20キロ離れた所に、旧ナイチ聖国の属国、チスナ帝国がある、そこからの軍勢のようじゃ。
まだ2キロ離れた位置じゃが、わし達、子供達も、はっきり見えた。
先頭に、首輪に鎖の精霊族100人程を、盾にして進んで居る。
チャイが指示を出しておる、「君はあの二人、貴女はその隣の二人、··········」
「転移と同時に鬼火で、鎖を焼き切る!!」「チイトと2人は護衛」
「皆、僕の行けの号令で、一斉行動!!!」
細かい指示を全員に与えた。
チャイは指揮官として優秀じゃな。
「皆、準備は良い?各自の目標を見据えて」
全員が頷くのを確認して。
「行け!!!!!」
全員が一斉に転移し、1、2、で、全員各自両手に、二人の子供を抱えて帰って来た。
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