第37話 謎の敵対集団

クロ達は、出発までに3頭バファローを追加で仕留めて来た。

チャイが1頭、チャミが1頭、チシャが1頭、各々架空袋に収納した。

チャイが、指導した様で、ケトシ族に架空袋修得者が増えておる!


チートなケトシ族の中で、唯一人何も修得出来ておらん変わり者がおると、チャイが教えてくれた。

がぜん興味が湧き、チャイにその者を連れて来てもらった。

12歳の男の子、チイトと紹介された少年は、どんよりとした、今にも泣き出しそうな様子じゃ。

「つ、追放、しないで、くだ·····」

「あっ?呼んだのはそんな事じゃ無いぞ!!心配し過ぎじゃ!」

連れて来たチャイの方が安堵しておる、チイトは意味が理解出来て居らん様子。

「わしが、チイトに合う方法を直接指導してやる!!」

「えっ?えぇーーーー!!!」

チイトは、泣きそうな顔から一変、満面の笑顔になった。


チイトに、出来る事をやらせて見た結果、火花を散らす、一滴ポツリと水が、そよ風が、イメージが直接的過ぎる子じゃな、これなら有意義な方法がある。


「チイトよく聞け、ケトシは精霊族じゃから、精霊が力を貸してくれる」

「セイレイ?」

「そうじゃ!火には火の精霊、水には水の精霊、風にも風の精霊が宿っておる」

「うん!!」

「おっ!知っておったか?」

「精霊様は神に近い凄いお方達で、僕達精霊族の親のような存在って聞いた」

「ほう親のような存在?」


「他にも土の精霊、光の精霊、闇の精霊、雷、氷の精霊もおる」

「··········」

「チイトは精霊達に、力を貸してもらうよう祈れ!!」

枯れ木を集め鬼火で火を点ける。

「チイト!炎を観ながら、火の精霊に力を貸してと祈れ!この火をブワッとさせろ」

「ワッで、出来た!!!」

チョロチョロ燃えていた、炎が吹き上がった。

「此が精霊魔法じゃ!」

チイトに両手を繋げさせ、氷雨で掌に水を満たした。

「次は水の精霊に頼んで、その水を吹き出せ!!」

「出来た!!·····」

掌一杯の水とは思えない、大量の水が飛んで行った。

「後は、色々な精霊に協力して貰い、精霊魔法を試して見ると良いぞ!!」


最初は、元になる火、水が必要じゃったが、あっと言う間にチイトが想う精霊に、頼むだけで魔法が使え出した。

「時間も無い事で、最後に土の精霊使いじゃ、よう観とれ!!」

手を地面に付け、大地の神術実行。

地面が隆起し、土の壁が立ち上がる!

「チイト、土の精霊に頼み、同じ事やってみろ!」

チイトは地面に手をつき、念を凝らしておる。

ムクムクと、5メートル位の土の壁が出来上がった。


チートな精霊使い、大魔導師を育てて仕舞った瞬間である。

(精霊が、本当に居るかわしは知らん、信じる者は救われるじゃな?)


「「マンバ様ありがとう!!」」

チャイとチイトはニコニコ笑顔で皆の所に走って行った。

バスの釜焚き、蒸気圧上げそれに運転まで、ケトシ達で出来る様になった。

背の目が珍しく、懇切丁寧に指導しておる。


ナイチ跡地に向け、バスを走らせる。

バスの中で。

「皆聴いてくれ!!」

何事かと、皆注目する。

「いつまでも、ナイチ跡地じゃ無く、皆の王国に相応しい、良い名前を考えてくれ!!」

「「「私達の王国?」」」「「「僕達の王国?」」」

「そうじゃ!精霊族皆の為の王国じゃ!!!」

「マンバ神王国じゃダメ??」

「マンバ神王国は隣の神の大陸がそうじゃ」

「んーーと·····じゃぁ、マンバ神第二王国!!」


「皆の気持ちは嬉しいが、もっと皆が住むに相応しい国名を考えてみて」

「他の精霊族とも話し合って、ゆっくり決めるとよい、ただ、わしの希望はケトシ達に命名して欲しい」


出発がゆっくりじゃったので、夕暮時にやっと帰って来れた。


町まで帰って野宿は無いと、酒場兼宿屋に入り、2階の10部屋に別れて寝かせる。

「チャイとチャミは下に降りて!打ち合わせがある!!」



「チャイとチャミは、ケトシ族の集落を巡り精霊族の国造り、協力を募って回って!!」

「護衛はナオにする」

「もう一組、テツ!チシャとチェリを連れて、別動でケトシ族を説得して回れ」

「カズマは単独でも、誰か同行差せても良い、小数雑多な精霊族に事情説明して回れ」

「背の目は、この跡地の細部のチェックと、国造りの準備!」


指示を与えておると、チイトが降りて来て、遠慮がちに話してきた。

「マンバ様、風の精霊に頼んで、遠くの音を届けて貰ってたら、城からカチャカチャジャラジャラ音がする!!」

「よく報せてくれた!宝物庫荒らしのこそ泥かも知れん、皆行くぞ!!」


わし達が、近付くのに気付いた賊数人が、闇に溶け込んだ様に消えてしまった。

「何者じゃったのか、これだけのメンバーに、痕跡も掴ませず逃亡するとは、侮れん者共じゃ!!」

「本当に何者じゃったのか、正体を掴むまで、気が抜けんな!」

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