第34話 クーシ族

狂集団の国、跡地の利用法。

城壁はそのまま残っておる、城も民家も殆んど無傷で残っておる、壊さないよう燃やさないよう極力気を付けた、広大な無人の街、ただ無駄に放置は勿体無い!

隠れ住む精霊族を集め、住んでもらう事にする。


1台のみ試作の、100人乗り大型バスを貰って、架空袋に仕舞ってある。

バスと言うより、煙突があるし、線路を走らない自由起動の丘蒸気かのう。

取り出して、釜に氷雨で水を入れ、持っておった石炭で釜を炊く。

蒸気圧が上がり、発車準備完了。

ケトシ達と、わしら全員乗っても、席は半分程しか埋まらん。

大多羅も、乗る時は屈んで窮屈そうじゃったが、二人ぶんの席に座りのんびりしておる。


運転は背の目、時速30キロ程の速度でトコトコはしりだした。

背の目の回りには、運転に目をキラキラ輝かせて、数人の男の子が見詰める。

最後尾に座るわしの隣には、チャイがちょこんと座っておる。

ケトシ達は、初めて乗るバスに大はしゃぎ、仕草全てが可愛い!観てるだけで癒される。


テツはチシャ達3人と、一つの席に座りワイワイ話しておる、大人二人用の席に子供体形とは言え、4人座っていては窮屈じゃろうにな。


前方にうっそうとした森が見える。

「背の目、ここで止まれ」

皆を下車させ、のんびり休憩「昼飯にする!」

全員に、握り飯と串焼肉を配る、大量に収納しておった食料も、そろそろ補充せんと底を突いておる。


「クロ、ジュン、ジュニ旨そうなのを狩って来い!!」

「大多羅護衛に残れ、飛べる者は各自偵察せよ!!」

「皆は休憩して居れ、森を上から観てくる」


クロ達は狩りをしに、森に駆けこんだ。

銘々飛び立ち、森の偵察に向かう。

下を見ると、子供達が全員見上げておる、どう飛んでおるか観察しておるようじゃ。

「ちょっとサービスじゃ」

子供達の上を、手を振りながら旋回した。

子供達が喜んで手を振っておる。


その中の一人がふわりと飛び立った。

「えっ?見ただけで飛ぶか?」

わしの所まで飛んで来た少女、聖王のおっさんから助け、抱いて飛んだ事があるチャミ?テツから鎌鼬の手解き受けておったが、それだけで飛べる?天才じゃ!!

「チャミじゃな?」

「はい!マンバ様」

「付いて来るか?」

「はいっ!!」


チャミは、進行方向を見据え、慎重に飛んでおる。

そうなんじゃよな、馴れないと、見た方向にフラフラ行ってしまう。


初飛行、これ位で降りて休憩させるか。

池の辺りに小規模な集落が見えた。

「チャミ、あそこに降りるぞ!」

指差した、方向を見たチャミは、フラフラ池の方に飛んで行く。

着陸は手伝った方が良さそうじゃ、地面に激突しそうな危うさがある。

そっとチャミを抱き寄せ「降りる時は地面に足を向けて、飛び立つ時の逆」

「体のブワッを少しづつ抜く、うん上手じゃ、そっと、よし!着陸」

「気を付けんと、さっきの勢いで降りると、地面にドッカンじゃったぞ」


池の辺りにの住民は、当然わしらに気付いておる。

近付いておる時から、驚いた顔して見上げておった。


村人は、理解不能な出来事に、呆然と見ておるだけじゃが、子供は違う!

走り寄って来て「お前達は何者だ!」「怪しい人間め!!」

チャミを見て「ケトシ族の子供が、何で空を飛ぶ?」

年長の子供と年少の子供は反応が違った。

「すげぇなおめぇら!!」「空を飛んでた!かっこいいなお前ら」

怪しむのと、称賛の二分された声かけじゃ。

回りの子供達、それに呆然と見ておる大人も皆プードル耳をしておる。

おぅ!クーシ族じゃ!!!


やっと、話のできそうなお年寄り、長老か村長が話し掛けてきた。

「私はこの村の長老コム、お前様は何者ですじゃ?」

チャミの方に話し掛けるか·····ま、年上に見えるからのう。

チャミはわしを見ておる。

「わしは、神の大陸の神王マンバ!この子はチャミ、わしの眷族じゃ!!」

チャミは、眷族と紹介され嬉しそうな笑顔じゃ。

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