第29話 背の目は
新大陸を南下しておる、果てしなくだだっ広い不毛の地が続く。
「大多羅、この地に有意義な物は、埋蔵されて居らんのか?」
「大王様、この辺りにはピート?泥炭位しかねぇだ」
「掘り出して乾かせば、冬の暖房に使えるな」
「そげえな面倒くせぇ事せえでも、薪になる雑木林はぎょうさん、使いきれん程あるんでェ」
「新大陸だけじゃ無いぞ、世界中の事を考えんと」
「流石大王様じゃぁ!!」
「ガキンチョ!大多羅ばっかと話さずに、オレにも一寸は構え」
「テツわるい!じゃが、500年ぶりの再開なんじゃ」
「テツ!マンバ様の邪魔しない!!」
「御二人の、会話を聞いているだけでも、楽しい気持ちになりますぞ」
「皆さん、でえろう迷惑かけてすまんこってす、じゃぁけど、おらにとっては600年ぶりにお逢いできた大王様じゃから、ぎょうさんの話がみてるまで我慢してつかぁさい」
「大多羅の言う事、皆聞き取れんじゃろうな」
「要約すると、[600年ぶりの再開、積もる話が無くなるまで我慢して下さい]と言うとる」
「へぇーそう言ってたの?途中から聴くの諦めてた」
「カズマは兎も角、ナオとテツは岡山じゃろう?」
「神戸から移って来たから、こってこてで昔の岡山弁は解らん」
いつの間にか、不毛の地を抜けて、辺りは雑木林になっておった。
「マンバ様20人程隠れて居るようです!」
「盗賊か?この集団を襲う程の強者とは思えん、覇気を全然感じんぞ」
「マンバ??山姥様じゃろう?」
「大多羅、この世界でわしはマンバと名乗っておる」
「そう言われると、山姥様ものすっごぅ可愛くなられて、魂本質を見てたで、今まで気付かんかったですらぁ·····マンバ様だか、今のお姿にピッタリじゃぁ」
無謀にも盗賊ども、わらわらと現れ「武器と防具それに有り金全て置いてゆけ!」
と、ほざきよる。
「お前達は、盗賊で間違い無いか?」
「盗賊だ!!嬢ちゃん命が·····」
皆まで言わせず、のどを引きちぎる。
「わっ!!何をする!!!」
「盗賊退治じゃが?」
「ゆ、弓で狙われてい、居るのに気付かんか!!う、動くな!!」
鎌鼬を飛ばす。
「狙撃はここと、ここか?」
残りはカズマが鎌鼬で倒しておった。
弓を持った4人のムサイ男達が、どだどさ落ちてきた。
落ちて来た時には、他の15人程はナオとテツが殺しておった。
「残ったのはお前だけじゃが、どうする?」
「う、うわぁーーーーー」
逃げ出した盗賊は、クロが一口でペロリじゃった。
「変な物を食うと、腹下げするぞ」
歯応えの無い盗賊じゃった。
「マンバ様、兵士や傭兵、冒険者にすらなれん、カスどもが盗賊になる、もとより盗賊は弱い者が群れたものです」
「ガキンチョ、盗賊は金目の物は何も持って無いぞ、ぜんぶ纏めて銀貨と銅貨がこれだけだ」
「弓はそこそこ良さげだった、剣15大剣2弓4まとめておいた」
「盗賊の身ぐるみ剥がす、わしらは盗賊より悪どくないか?」
鎧も集めてくれたようだが、臭くて汚いので放置する事にした。
のんびりとした旅は続く。
「ただ広いだけで村落も無く、この大陸の人口、神の大陸の半分位か·····寂しい大陸じゃな」
「大王様、あの時霞んで見えんかったけぇど、西に2つ村が在ったんよ、フェンリル同行じゃから集落は避けとるんよ!」
「大多羅、お前昔と変わらんトンチンカンな気遣いしおって」
「誉めるな、テレる!」「誉めとらん!!」
「えっと、マンバ様こっからは、中央の国まで集落がねぇ地帯じゃ」
「だからぁ今まで一度も集落見えとらんわ!!」
無人の荒野を5日、やっと砦の城壁が見えてきた。
「砦に入るのか?」
「こんな怪しい集団、砦に入れて貰える訳がねぇ、マンバ様も冗談言うようになっただな」
「まじで言ったんじゃが」
「背の目は、ここには居らんのじゃな?」
「こっから、半日行きゃぁ、中央の国じゃぁ」
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