第26話 新大陸に再挑戦

新大陸に再挑戦しようとする度に、出発前に見せたヤンの誇らしげな顔が浮かび、悲しみと後悔に落ち込む。

アホの国の騒動で、気分が紛れたはずが、落ち着くとダメじゃ!!


日本で妖怪の王だった頃、配下の物の化妖怪が討伐された事など、数え切れない茶飯事であった。

当時は悔しさのみで、哀しみや後悔など微塵も感じんかったが、このマンバの7歳の身体に、精神が影響受けて居るのであろうか?不思議な感覚じゃ。

ありゃ?8歳になったかのう?全く背も伸びんし成長して居らん?この姿のままなのか??

転生して1年は経ったような?·····まっどうでも良いが。


それとも、皆に神と崇められ、信仰心がわしの神格を昇格させた?

いや、神は無慈悲で気紛れ残酷な存在じゃ·····実際関わったからのう。

わしはわしじゃ、それ以上でもそれ以下でも無い。



おうっそうじゃ!なんと熊さん、阿久田が氷雨を使え出した。

凍死寸前まで経験した熊さん、わしの氷雨を真似て普通に使え出しよった。

ただ、不思議な事に、氷らせるだけで、もっと簡単な水が出せん、勿論雨も降らす事が出来ん変な氷雨じゃ。

当の熊さんは「マンバ神様に加護を頂いた!!」と大喜びじゃが。


熊さんに先を越され、中原3王がさかんに悔しがること、セイン、バル、サンゾの3王が、わしにベッタリの日々が続いておる。

一挙趣一到足少しも見逃すまいと、じっと観察され続けられるのは非常に迷惑じゃ。

三重姉弟の時も、なんと無くじゃが、資質が解った、鬼火じゃ無いかと。

ナオもテツも威力が上がり、鬼火強が使え出し、今は弱い鎌鼬まで使えておる。

中原の王達は風、鎌鼬が使えそう?かな??



サカエ領の南、ダイコ領の東側に大森林がある。

伐採し農地として、難民に与えようと来ておる、勿論3王も一緒じゃ。

鎌鼬で伐採するので、見取り稽古として、ちょうど良いのじゃが··········こりゃぁ伐採出来んぞ!!

「マンバ様どうされた?」

硬直するマンバに、セインが聞いてきた。

(こりゃ楓じゃ!!樹液を煮詰めると蜜になる、鬼達の話で極上の旨さとか、いつか舐めて観たかったんじゃ!!)

4万人の難民は、カセダ農地やシタチ牧場などに就任させた。

残りの6万人の、農地作りのつもりじゃったが、嬉しい誤算じゃ。

「「「マンバ様??」」」

「おぅ!ちょっと見ておれ!!」

「「「??」」」

楓の幹に鎌鼬で傷を付け、滲み出てきた樹液を風で集め、氷雨で余分な水分を散らす。

目の前に浮いておる蜜を指に付け舐める。

「美味い!!」

「蜜じゃ、舐めてみろ!」

3王が指に付け舐める。

「「「美味い!!!」」」

「マンバ様!何ですか?これは」

「ガセダの木は、ヤニの処理が面倒で材木としては使われない物」

「こんな美味い蜜が採れるとは!!」

「楓の蜜じゃ、めーぷるしろっぷとも言う」

「かえでしろっぷ?ですか·····」

「楓しろっぷ!良い名じゃ!!」

残った楓しろっぷを架空袋にしまう。

「これからはこの大森林をカエデ領と呼び、6万人の難民を住まわせ、楓しろっぷの生産をさせる事にする」


「カエデしろっぷ」生産計画は、サカエとダイコそれに、氷雨が使え出してご機嫌の熊さんに丸投げした。

蜂蜜好きかと思ったが、カエデしろっぷを食べた熊さんが乗り気になっておった。

任せて正解であろう。




グズグズして居ては始まら無い!

意を決し、こっそり新大陸調査に出掛けた。


ひそかに誰にも知られないよう出掛けたが、永久凍土の手前に、三重姉弟とタカダ大将軍が行く手をふさぐように、待ち構えておった。


「こらっガキンチョ一人で行くな!!」

「そうよ、テツだけでは心配、私もついて行く」

「マンバ様私を置いて行くなんて、今度こそはお供します!!」

「ナオとテツは同行許す!大将軍が不在はまずいぞ!!」


「マンバ様!私も空を翔べます、お役に·····必ず役に立ちます!!」

「えっ?タカダ·····カズマいつ翔べるようになった?」

最近タカダと呼ばずカズマと呼んで欲しいと言われておった。

「カマイタチの応用でこの通り」

カズマは竜巻を纏い、フワリと飛び立った。

ナオとテツも同じように、フワリと飛び立った。

「あれれっ?皆いつの間に?·····器用な飛びかたじゃ!!」


危ない時は飛んで逃げれば良いか。

「しょうが無いのぅ同行を許すが、安全第一じゃぞ」

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