第25話 スサンダ王国
「私達は、スサンダ北部に住む、サイス族とパクタ族の者です、助けて下さい!!!」
反乱騒動から2ヶ月程経ったある日、スサンダ王国から闇に紛れて難民が押し寄せて来た。
寒さの中、ボロ毛布を数人で纏い、寄り添って歩く痩せ細った200人の群衆がヨロヨロと続く。
国交断絶しているが、封鎖している訳じゃなく、スサンダ王国からやって来るのは、国境警備兵による入国の理由等、診査は有るが自由である。
反対に神王国からスサンダに入国する者は誰一人いない、神王マンバの怒りをかった国だから。
難民は、命からがらの亡命者達だった。
二月程前、「独立国だ!!」と、町中では3日3晩飲みほうだい食いほうだいの、お祭り騒ぎがあったそう。
奴隷階級の、サイスとパクタ達には、関係の無い出来事だし恩恵も全く無かった。
スサンダ王国は、食糧自給率50%弱で、足らずは帝国に恵んでもらっていた。
この現状で独立など有り得ない!たかる事前提の独立?
何はともあれ、住み難くなる、弱者の予感は的中した。
もともと奴隷階級の彼等は、9割りの納税が課せられていた。
今年の収穫は少なく、この冬は得に僅かな食糧で餓死者覚悟の状態だった。
その上に一月前過酷なお告れが出た「越冬の為の食糧を全て納税せよ!」との事で全ての食糧を取り上げられた。
奴隷は、餓死しろと言う事か?
干からびたイモ弦と、畑を掘り返し取り残しの芋は無いか探し、冬眠中のいも虫を見つけて生き延びて来たが、雑草までも全て食べつくし、もう何日も水しかのんでいない者が殆どだそうだ。
餓死を待つより、僅かな希望を求めての亡命だった。
スサンダ王国にはまだ、サイス族パクタ族10万人が残って居て、餓死寸前とのこと。
救出は、神王国最北端東側サカエ領から、北の永久凍土経由での救出を決行する。
サイス族代表のジョルと、パクタ族代表のイルソが、数名の部下を連れて、10万の仲間全員が、決行日時に永久凍土側に移動するよう、ひそかに連絡して回った。
決行日犬ゾリ馬ゾリ、コロ達も総動員、夜通しのピストン輸送で要救助者、病人を含む10万1千人全て収容できた。
スサンダ王国には、50万人の住民が残っているそうだが、全て根っからの非生産的タカリ気質のどうしようも無い者達しか残っていないそうだ。
蛮族の長だったスサンダですら、腰箕に裸足の生活で、種族の平均寿命40歳弱の、ヤクザと言うかチンピラ国家だったスサンダ、どう接しても気質は変わらない。
裸族の野蛮人、放置すれば良かったものを、同情から、むやみに援助などした為、贅沢を知り、贅沢を維持するためタカるスサンダ。
今後一切の関わりを拒否、国境線の完全封鎖を実施した。
タカリユスリの、ヤクザ政策を通して来たため、神王国全ての領地が関わりを拒否、完全封鎖の効果で常套手段の、周辺領地住民を拉致し奴隷化も出来ず、徐々に滅びの道を突き進むスサンダ「賠償と謝罪を」と虚しくさえずるのみだった。
更に一月経過、長い冬が終り、サカエ領にも暖かい日差しの春が訪れた。
春動と共にスサンダ王国に動きがあった。
賠償と謝罪を掛け声に、10万の軍勢が奇襲攻撃して来た。
スサンダの動きは、間者により筒抜け、準備万端バチ来い!!!
「神王国の非道に我々は我慢の限界である!!」
「わが方の労働奴隷10万を不当に神王国が拉致しておる!直に返還せよ!!!」
「返還に合わせ謝罪と賠償を要求する!!!」
向かっ腹の立つ!!
「寝言は寝て言え!!!」
「話に成らん奴等とは、話をせん!!」
「鬼火大!!!」
不法侵入の10万の無法者共が消滅した。
マンバの情か苦しむ事なく、一瞬の消滅だった。
国境で呆然としている、スサンダ警備兵にマンバが叫んだ。
「寝言を言いたければ、消滅覚悟でいつでも来い!」
1週間後、黄色い旗を掲げ越境者数名。
「その場で止まれ!!それ以上侵入すると攻撃する!!!」
「我々はスサンダ王国使節団である!!神王国に対し謝罪と賠償を要求する!!!」
「攻撃開始!!」
呆然と見守るスサンダ警備兵に。
「寝言は命を賭けろと言った、宣言通り実効した!!」
飽きる事なく、謝罪賠償攻撃が続いた、その都度皆殺し、頭悪ぅ!!バカなの?
··········いや?頭良いのか!最高の口減らしだ!!
徐々に暖かい日が増えて来て、苗を植えても霜にやられる事の無い季節になった。
アホの国が趣向を替えた。
神王国に対しアホの国が、謝罪し賠償を実施すると言って来た。
神王国はそれを無視した。
アホの国は、近隣領に食糧買い付けの打診をして来た、近接しているサカエ、フクト、ダイコ、3領の代官は通常の3倍の金額での売買を通告、スサンダはしぶしぶ合意した。
引き渡し当日、食糧の荷車と金貨の交換後、支払の金貨が偽造と判明、直に引き渡しは中止された。
歪な造りの偽造金貨は酷い物で、一目で偽物と解る粗悪品で、金が全く含まれていない黄銅貨だった。
アホの国は「汚い言い掛かりだ!!謝罪と賠償を要求する!!」
お決まりのアホな捨て台詞を残し、トボトボ帰って行った。
ばれないと思ってたの?バカなの?
子供も騙されないような手口に、マンバは呆れた。
その後、密入国者が続出した。
入国した直後、一人として漏らさず、射殺された。
面倒になったマンバは、アホの民族絶滅を宣言した。
飛翔したマンバは、スサンダ王国全土を氷雨凍結して回った。
ヤンを亡くした哀しみが少し紛れた、アホの国の価値は、それだけのものだった。
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