第21話 マンバ神王国大陸制覇

ヒトマ辺りかカセダからか、それとも中の3王国なのか、わしの大王国がいつの間にか

「マンバ神王国」と呼ばれるようになって居った。


わしの前には女性と少年が、報告の為椅子に座り、飲み物で喉を潤していた。

女性はナオ16才、少年はテツ14才姉弟である。

二人は日本で、高校生と中学生として普通に生活していた。

ある日下校中偶然出会い、共に帰宅中、狭間からこの世界に落ちて来たそうだ。

新陳代謝の為、この世界の神が業とに開けた穴じゃ。

(迷惑神め!いつかシメてやる!!)

姉弟はこの世界に来て、直ぐに溢れる力に気付いた。

特殊な能力を頼りに、権力者の基、暗殺者として過ごしていた。

そんな時、敵としてわしと出会った。



そんな事を思いだし、二人を眺めて居ると、

「ガキンチョ!報告するぞ!!」

粋がりたいお年頃のテツは最初から変わらんな、怖れ避けられるより気楽で良い。

「おぅ!良い話かのぅ」

「マンバ様、アクダ皇帝ですが·····」

アクダ皇帝は、豪快な独裁侵略者ではなく、不必要なまでの安全策を進めて、完全に勝利出来る状態にして、領土を拡げて来たそうだ。

(臆病な性格で、石橋を叩き割る位確認する奴か·····)


「今回のマンバ神王国との戦いは、此のままでは敗戦すると分かって居るようです」

「和平会談を開き、不可侵条約を結びたい様子だぞ!」

「ここまで進軍して来て、今更それはないじゃろ?わしは、不可侵等生温い条約は結ばんぞ!!」

「5万の軍勢を叩き潰すのは簡単じゃ、が、のぅ·····」

(粗方方針は決まった、面倒じゃが最大の成果をもたらす方法じゃ)


「話は変わるが、テツ!異世界と言えば、猫耳獣人やエルフにドワーフ其に魔族だろ?」

「居ねえよ!魔法もねえし」

「魔法?わしは、妖術使えるぞ?」

「ガキンチョは神だから··········」

「日本人、日本出身の若者なら出来る!!想いが足らんだけじゃ!!!」

「そう·····??」

「幼児の頃好奇心でライター遊びしたであろう?」

「したぞ!」「私もやった!!」

「この世界も地球と同じじゃ、魔法、妖術が知られて居らんだけで、存在せん訳じゃ無いぞ!!」

「目を閉じて、想い浮かべるのじゃ、ライターをカチッと!!」

「··········カチッ」「··········カチッ」

「ナオ、テツ、目を開けて見ろ!!!」

「「わっ!!!!!」」

二人の右手から、蝋燭の炎位の火が、チョロチョロ燃え出ていた。

「「使えた!!魔法!!!」」

「これが鬼火の初歩じゃ」

使えた!の後感激で声が出ない様子の二人。

「鬼火を繰り返すと、威力が増すぞ!」


しばらく二人は、カチッカチッと言いながら、鬼火を繰り返し灯していた。

ハッと気が付いたように

「ガキンチョ!お前の!!·····神の加護か??」

「二人なら、ナオとテツなら出来ると感じた、ただそれだけ」

「··········それだけって、これ·····スッゴイ事だと·····」

「魔法·····無い·····世界で··········スッゲェ!!!」

「魔法と言わず、神術と言った方が、かっこ良いぞ!!」

「「神術か!!!」」


「上の世界住民の霊の格が物を言う!思い込みが強ければ、想いは叶う!!!」

「其に、エルフドワーフはこの大陸には居らんが、他の大陸なら居るかも知れんぞ!」

「他の大陸?」

「ここで、ごちゃごちゃするのも、面倒になった··········飽きた」


「さて·····と、一飛びして、アクダ皇帝の様子見て来る」

「出来そうなら、制圧して来る!」

「マンバ様!!10万の軍勢をお連れ下さい!!」

「いや!そんなゾロゾロ引き連れて行くと、時間と金が懸かり過ぎる!!」

「様子を見るだけじゃ!やれそうなら制圧するが·····」

「王様!ガキンチョはこう言う奴だ!!」

「好きにさせたら、最高の結果を残す御方だよ!」


と言う激励?を受け飛び立った。


砂漠の上を通過中、「不毛な砂漠·····?あの黒い水溜まり!!もしかして·····後で要調査」

「おっ!一変して!確かに風光明媚じゃ!!!後でゆっくり観光せねば」


流石に5万の軍勢が駐屯するには、町中とは行かんか、結構良識持って居るのぅ!!

見渡すかぎりが、天幕の張られた夜営地は圧巻である。


この範囲を一気に凍結させると、一瞬凍結に成らず、ジンワリ凍結した者は凍死するな!

「夜を待って、2度に分けて凍結させるか」


「··········真っ暗で範囲が解らん!見えん事も無いが、確実に全体が見えるよう夜明を待つか」

まだ薄暗いが、当番兵が朝食の準備に集まって来た。

「もう大丈夫見えるぞ!!」

マンバはその場で飛翔し、範囲を見定め「氷雨凍結!」少し移動し「氷雨凍結!」

少し高度を上げて、成果を確認する。

成果に満足し、豪華な天幕の所に降り立った。

凍結した警備兵の間を通り、急作りの寝台に眠るアクダ皇帝に近付く。

「問答無用、聞く耳持たぬ!!って成らないかな?」

皇帝の風貌を見て、少しびびるマンバ。


アクダ皇帝一人を解凍する。


皇帝は、わしを見ても慌てる事無く、穏やかに話し掛けて来た。

「こんな所に遊びに来ても、面白く無いであろう」

威圧感も無く、柔和に話し掛ける男、巨体に髭が顔中モジャモジャまるで森の熊さんじゃな。

「アクダ皇帝、何か勘違いして居らんか?」

「余の事を皇帝と知って居るとは、利発な幼女であるな!」

「自己紹介が必要じゃな、わしは今5万の軍勢を、纏めて其の方と共に捕虜にした、マンバ神王じゃ!!」

「マンバだと!!!」

皇帝は、寝起きのボンヤリが吹き飛び、一気に目が覚めたようで天幕から飛び出で行った。

「衛兵!!曲者だ!!!」

「無駄じゃ誰も来ん!捕虜にしたと言ったであろう」

振り返ったアクダ皇帝は、わしを見て、両隣の氷結した警備兵に気付いた。

そして、ゆっくりと辺りを見回した。

見渡す限り凍結した自軍の兵達!

「安心せよ、わしが解凍すれば生き返る」




一気に解凍で無く、段階を追って解凍した。

皇帝の腹心指揮官を解凍、現状を皇帝に説明させ、彼等を引き連れ、次は隊長達を解凍、凍結した軍を目の当たりにさせ、各隊長の兵を順に解凍していった。

自分達を最強軍隊と信じて来た、彼等の心がポキポキ折れて行った。

面倒だったが、わしに敵対行動は不可能と、潜在意識の奥底まで植え付けてやった。

全てを目の当たりにした、アクダ皇帝とワルダクミ帝国軍、人知を越えた神の所業と、わしにひれ伏すのだった。


大陸の殆んどを呑み込んだマンバ神王国、残りのわずかな勢力も己れの生存のため、統合を願い出て来た、ほんの僅かな期間で、マンバは大陸制覇の偉業を成しえた。




大陸の名は今まで無かった。

王国名と同じく、自然発生的に大陸名が人々の口に上った。

「神の大陸」と。

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