第20話 大陸の半分がマンバ王国
通称中原国東国西国、正式名セント王国、イース王国、ウエス王国、3国を合わせると大陸の1/4を占める。
その3国を統合し、今やマンバ王国は大陸の約半分を占める大王国になってしまった。
進軍開始から、一月少々経過した、遥か遠くのアクダ皇帝にも、情報が届いた。
「王国を建国宣言したばかりの小国、直ぐに叩き潰せると侮って居たが、大変だ!」
「··········いつの間にやら、我が帝国の倍の規模に成長しておる」
「まさか、あの強固な3王が門下に下るとは·····信じられんが事実のようだ」
「迎える敵兵の規模も5万処か10万以上と考えられる·····遠征で無く応戦、20万でも揃える事が可能だ!!」
「·····大陸の半分まで国土が拡がった?まずい、まずいそ!!進軍は間も無く敵地中原、このまま開戦すれば即敗戦になる!!!」
進軍中のワルダクミ帝国軍に情報は届き難く、作戦練り直しの為、急遽アクダ皇帝自ら腹心を引き連れ、軍勢と合流のため馬を走らせた。
熊のような巨体のアクダ皇帝、弱った馬を取っ替えひっ替え、何とか軍に追い付いたのは、トウゲン王国に後2日と迫る距離であった。
破滅の進軍を寸前で止める事が出来た皇帝は安堵した。
殆んど不眠不休で駆け続けたアクダ皇帝は、流石に疲れはて、作戦練り直し会議は2日後として休養するのだった。
マンバは中原王国最北端に位置する、岩塩の町に逗留していた。
岩塩の町は、中原王国に併合される前は、消滅したルベール家の領地だったそうだが、岩塩の産出のみで、北には不毛な砂漠が広がり、風が吹くと砂塵が舞う住みにくい町である。
過去も現在も、岩塩採掘作業者以外の住民は住まず、正式町名は今でもルベールだが、自然と岩塩の町としか呼ばれ無くなった。
砂漠は小規模な物で、北に一昼夜進むと、不毛から一変して風光明媚なトウゲン王国が有るそうな。
(桃源郷を彷彿とする名じゃ!行ってみたいのう)
その事からも、小規模な砂漠は一切人の手が入る事無く放置されて来た。
アクダ皇帝勢力圏との、干渉地帯としての役目は有る為、尚更放置されて居るようだ。
太陽は中天より西に傾き、マンバの見ている間に、中原王国からトウゲン王国に虹の架け橋がくっきりと現れた。
「此は見事ですな!!!」中原のセイン王がマンバに話し掛けた。
3国王が揃う事はめったに無いが、あの会合以来、誰かが常にマンバと行動を共にするようになった。
「ワルダクミ帝国軍5万の軍勢が、トウゲン王国の手前で何故か進軍を中止しているとか·····この虹は何を暗示して居るのか」
相手アクダが望んで居る事、其に避けたい事等情報が無ければ、優位な和平には持ち込めない。
虹を眺めながら「情報が欲しい」呟くマンバ。
「マンバ様?アクダ皇帝に関する情報ですか?」
「セイン殿、何でも良い、知ってる事教えて!」
「そう、ですな·····」
陰謀と優位な戦力で捩じ伏せて来た、厄介な人物がアクダ皇帝らしい。
力押しの脳筋で無く、策略を練る事も出来るのは厄介である。
しかし中の国3国の働きで、これ以上の南下侵略を防いで居るとか。
今回マンバ王国討伐軍の、中原王国通過に関しては、通行料金の支払いを打診して来ておるそうだ。
有力な情報は無かった。
大陸1/4もの広大な領土、ワルダクミ帝国軍を消滅させても、今回は即占領とは成らぬであろう。
絶対独裁者のアクダ皇帝が居なくなると、ワルダクミ帝国は崩壊し、又小国に分裂してしまい、新に個別占領の手間が残るだけ。
「何か面倒になって来た、ナオ早く優位になる情報掴んで!!」
密偵として、トウゲン王国に送ったナオとテツに期待するマンバだった。
心からの思いは通じる物なのか、ニンとトンが砂煙を上げながら駆けて来た、背にナオとテツを乗せ。
「ガキンチョお待たせぇー!」
「マンバ様情報仕入れて来たよ!」
「おっ、早かったのぅ!!」
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