第17話 デナ家からの使者

トレア王女とタクト王子、ジンの仲介でマンバと会合を開く。

初めはこの幼女、自分達より遥かに年下に見えるマンバに戸惑う二人だった。


マンバは、二人にお構い無しに言った。

「ヒトマとカセダ領は農業に専念させる」

隣の国がどうした?と言わんばかりの不審な顔をトレアがしていた。

「シタチ王国と同じく、ヒトマとカセダはマンバ王国の一部になった」

「えっ?そうなの?」

「そうなのじゃ!!」

「話を戻すぞ!旧シタチ王国の今後じゃが、酪農を主に励んで貰いたい」

「酪農?」

「レッサーカウおとなしい小さな牛じゃが、わしが集めてお膳立てはしてやる」

「マンバちゃん!!呑気に酪農の話所じゃ無いでしょ!!!」

「えっ?このシタチの建て直しより、大切な話は無いでしょ?」

「マンバちゃん!こうして居る間にも、ワルダクミ帝国のアクダ皇帝が攻めて来てるのよ!!!」

「後100日程で来るらしいね」

「マンバちゃん!!来るらしいねじゃ無いよぉ!!!」

「トレアさんや、わしの事をジンから聞いて居らんのか?」

「·····シルバーウルフを従える、凶暴な幼女?」

「ジン?タカダさんから、わしの事その程度しか聞いて居らんのか?」

「我が御先祖様と同じ、日本人としか聞いて居りません」

「日本から来たのは違い無いが、わしは人では無いぞ」

「人では無い??」

「こう見えて、わしは760歳じゃぞ!!」

「「「えっーーー!!」」」

「其ほど驚くか?タカダさんは知ってるぞ」

「わしは日本全土の妖怪の王山姥じゃぞ!!!」

「???」

「この世界で分かり易く言うなら、邪神マンバじゃ!!!」

「邪神様?マンバちゃんが邪神?」

「皆知ってるものと思って居ったが、秘密でも何でも無いぞ!」

「「「··········」」」

「日本の神々にこの地に追放され、わしはこの世界で自由奔放に暮らすと決意した!!」

「どんな大帝国が、5万其処らの軍勢で攻めて来ようが、一瞬で終らせる!!」


「で、酪農の話じゃが·····駄目じゃ話にならん、皆呆けて居る」



コロ達が、レッサーカウの大群を導きやって来た。

指示通り無人の大草原に放牧。

痩せ地で、雑草しか生えない不毛の地、故に放置されていた広大は草原。

今まで利用価値が無いとされ、何処の領土でも無かった。

雑草を勝手に食べて、育ち増えるレッサーカウ、思った以上に上出来の牧場になった。


後はわしに忠誠を誓う馬、アルフォンヌ達20頭程に牧童犬、じゃ無かった牧童馬になって貰い、レッサーカウの群れを管理させる。

アルフォンヌ達凄い張り切りようで、嬉しそうに仕事してる。


搾乳や肉用解体はタクト君を柱に組織作りをさせる。

その内馴れるじゃろう!

此処までお膳立てしてやった、あとは知らん!


わしが牛肉が食いたくなったら、勝手に間引いて、自分で解体して喰う。

此処まではシタチ占領後3日でやった。

グズグズは猫でもする、トロトロするのは性に合わん!!

牛を眺めヨダレを垂らして居ると、デナ家から使者が来て居ると、ジンが呼びに来た。



「マンバ様、私はデナ家の家老クズと申します」

「此れから滅ぼされる、デナ家のクズさんが、わしに何用じゃ!」

「·····我が当主より、マンバ様をお連れするよう、命じられて来ました」

「わしを呼び付ける意味が解らんが?用が有るならデナが来い」

「··········む、無条件降伏とデナ家を含む賠償金の引渡しを現地で行いたいと··········」

「仕方が無い、出向く事にする」

「おっ、それでは此方の馬車にお乗り下さい」

「馬車は乗り心地が悪いが少しの辛抱か、良いぞ案内せよ!!」

(締めた!バカな小娘め!!シルバーウルフと引き離せば、簡単に殺せる)

(清々しい程に、怪しさを隠せて無いぞクズ!)


馬車が走り出した。

打ち合わせ通り、少しはなれて見学希望者が、コロ達やアルフォンヌ達に乗って追いかけた。

シタチ領を離れ、デナ家領に入ると馬車が停まり、デナとデナ家の兵に取り囲まれた。

わしは、ゆっくり馬車を降りる。

「偉そうにしても、只のガキだな!」

「お前はデナか?」

「デナ様と呼べバカな小娘!!」

「それならばデナ!マンバ大王と呼べ」

「此処で死ぬ小娘!虚勢を張るな!!」


「よし!見学希望者が到着!始めるか?」


「いやに余裕が有ると思えば、仲間が来る時間稼ぎか」

「そのボロい剣で、わしが切れるか?」

デナは剣で切り付けて来た。

わしは、わざとに腕を出し、左腕を切り落とされた。

デナはニヤリと気持ち悪い笑顔をしておる。


さっと右腕で左腕を掴み、見学者に見えるように差し上げて、おもむろに切り口を会わせる、何事も無かったようにピタリと左腕がくっついた。

見学者達は「おぅーーー」と歓声をあげた。


有り得ない現象を見て、青くなったデナ家の奴等に。

「邪神マンバ様に敵対した報い受けて貰う!」

「氷雨包囲!!」わしをグルリ取り巻いて居った、デナ家の50人程が一斉に凍り付いた。


「皆、見てた!!」

「「「「「「「「「邪神マンバ様万歳」」」」」」」」」

「「「「「「「凄い!マンバ様、本当に神様だった」」」」」」」

調子に乗って飛翔し、皆の回りをくるくる飛び回って見せた。

飛ぶ必要が今まで無かっただけで、その気になれば当然空だって飛べる。


デナ家は一族が結束した領地、全てが同じ穴のムジナ、飛翔ついでに滅ぼし更地にして置いた。


広大な更地、さてと何に使うかな?

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