第16話 シタチ王国占領
わしが乗った、巨大なシルバーウルフのコロが走る。
急ぎで無いのでペス達の速度に合わせて走る。
比較的人通りが多いのか、珍しく整備された街道を進む。
(成る程!ショボンヌからの奴隷売買用の街道か)
辺りは手付かずの平原が続く、「勿体無いな!酪農にもってこいの場所じゃ」
「馬が居るくらいじゃから、牛か山羊くらい居るじゃろうに」
この世界の食肉はどうなって居るのか?
思い起こせば、売られていた鶏肉みたいな物しか食った事無いな。
コロが狩って来た、巨大角猪の肉は喰ったが、あれはでか過ぎ、酪農向きじゃ無い!
クロノ家では魚ばっかじゃった。
馬肉は美味いが、アルフォンヌ達みたいに、わしになついた馬を喰う訳には行かんし。
「ガッツリ牛肉が喰いてぇ!!」
「ガウガウ!」
「えっ?牛が居るの?バカデカイんだろ!」
「ガウゥ」
「人位小さい?牛が?」
「小さい牛が居る場所に案内して!!」
「グゥ」
「あっ!今じゃ無いぞ!シタチを占領してからな!」
とか何とか言っている内に、シタチ王国に到着!
この世界、街に城壁など一切無い!
門も無い!
城下の住人が何事かと遠巻きに見ておる。
巨大なシルバーウルフも人が搭乗して居る為か、住民は其ほど恐れて居ない様子。
道なりに城下町を通り、シタチ城の門の前に着く、城は良くも悪くも無い普通の城じゃ。
門番を張り倒して通過。
「コロ!脅しの遠吠え!!」
「ウォウォー」
城の窓、一斉に此方を観とる!
「おーいぃ、シタチ王出て来い!!」
「お前達同盟軍1万5千は消滅させた!!」
怒りの声が聞こえて来る。
「城ごと消滅されたくないなら無条件降伏せよ!!!」
「うっぬーー!!」「ふざけるな!!やれるもんならやってみろーー!!!」
「氷雨礫!!」
城の頂上付近、生意気な声の方に氷の塊が直撃、声の主ごと頂上が吹き飛んだ。
鬼火で消滅させる訳に行かんと思い、氷雨にしたが。
「小さな氷玉で、この威力か!!下手に攻撃繰り返すと城が消えるぞ」
「再度勧告する!!無条件降伏せよ!!!」
「反応無しか·····」
「此れから再度攻撃を開始する、皆殺しじゃ!!!」
「氷雨包囲!!」
シタチ城を氷が覆い、城が氷山になった。
後ろの人だかりから、「あっーーお母さんが!!」と声が聞こえた。
「お母さんがどうかした?」
「酷い!!お母さんが死んじゃう!!!」
泣きじゃくる少女から聞き出した話で、大失敗に気付かされた。
少女の母親は城の厨房努めだとの事、メイドや掃除夫、料理人等罪の無い人も大勢城には居たはずだ。
瞬間冷凍じゃから冷凍冬眠状態、まだ死んで無い、今瞬間解凍すれば復活する。
「面倒じゃが、確認に回るか」
「タカダさん達は此処で待機、復活して逃げて来た人達を纏めて居て!」
「「「分かった」」」
一気に事が済むと思うたが·····余計時間と手間をくう結果になった。
城ごと破壊するのでは無いなら、個別に殺して行く方が結果は早く制圧出来る。
「急がば回れ、とは良く言ったもんじゃ!」
凍り付いた門扉を蹴破る。
室内空間は凍てつき、氷柱が垂れて居る。
一階には凍り付いた兵士の集団が居た。
「瞬間解凍の練習に持って来いじゃ」
「鬼火解凍!」
50人程が一瞬で復活、異常は無さそう。
「兵士諸君!折角助かった命降伏するなら配下に取り立てる!!」
「偉そうな幼女?命令は受けん!!」
即座に、華麗な兜兵の頭部を殴る!
派手な見世物、見せしめの意味で力が入り過ぎたようじゃ。
隊長と思われる兵士の頭が兜ごと爆散した。
「他に降伏に不満な者は?」
「「「「居りません!喜んで配下に」」」」
「なら、両手を挙げて外に出ろ!外に居るタカダの指示に従え!!」
メイド、掃除夫、執事達を順当に解凍し進む。
城の厨房をやっと見つける、「多いな!」25人の男女を解凍。
此処までの通路部屋全て解凍して来た、外に出るのに凍える心配は無い。
此処でも外に出てタカダの指示に従うように命令する。
「おっそうじゃ!!この中にセナちゃんのお母さんは居るか?」
「私がセナの母親です·····」
「そうか!外に出たら、セナちゃんを誉めてやれ!」
「··········」
「セナちゃんの命乞いで、皆の命が助かったのじゃ!!」
不思議そうに首をかしげながら、厨房一同ぞろぞろ降りて行った。
(おっ!宝物庫発見!!!先ず先ずの御宝じゃ!)
一部吹き飛んだ城の最上部に到着!
近衛兵200に護られた、50人程の王族重鎮が凍り付いた状態で待って居た。
「さてと、一気に解凍すると、大混乱におちいる恐れが在るのぅ」
考えて近衛兵200を先に解凍する事にした。
解凍された近衛兵達は、凍り付いた王族達を見て呆然としておる。
「話した通り、わしが同盟軍1万5千を全て焼き滅ぼした」
「··········」
「優秀で無ければ、近衛兵は勤まらんはず、考えろ!!」
「この後順にデナ家ロク帝国と滅ぼして行く、其ほど有余は与えん!!」
「マンバ王様、一つ聞いても良いですか?」
「許す!君は?」
「自分は近衛隊長のジンと申します」
「私を知っておるようじゃが?」
「マンバ様の話は、タカダ様より聞き及んで居ります」
「タカダさんを知っておるのか!!」
「ジン-カズマが自分の名であります」
「タカダ-カズマの一族か?」
「自分はタカダの能力に恵まれず、本家を出た者です」
ジンの話は、王族を皆殺しにせず、助けて貰いたい人達が居るとか。
助ける理由と、助けた結果わしの利益に成る事を、理路整然とはなして聞かされた。
マンバ王国攻めを、トレア第二王女とタクト第三王子は最後まで反対されて居られたとか。
重鎮10名も第二王女に賛同して居たそうだが、他の重鎮25名と第一第二王子其に第一王女、シタチ王の多数に押しきられ、立場の弱い王女王子の意見は無視されこう成ったらしい。
「解った!誰と誰を助けたら良い?」
「私に敵対した王達を殺処分しても、王女達は敵対しないか?」
「それは·····何とも·····」
「敵対した瞬間殺すが、それで良いか?」
「私は面倒なのと、不安要素が嫌いじゃ!」
「マンバ王様の御心のままに!!」
国王王妃王女王子達、凍ったまま窓から投げ捨てる、氷なので落下と同時に砕け散った。
重鎮どもは纏めて放り捨てた、景気よく砕け散る音が響いて居った。
「此で善し!」
ジンの解凍希望者を順に解凍して行った。
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