あの状況に入るまで(イ)
「オラァ!」
バァーン
俺は髙橋 大吾
ハンドボールをサークルでやっている。とは言ってもただ楽しむだけの人達が集まったサークルだ。大会とかは目指していない。一応ポジションはポストだ。
では何故やっているのか。それはハンドボールが合法的に床に物を叩きつけられるからだ。
「おおチビ助。相変わらずジャンプ力は凄いな。」
「うっせえゴリラ!」
声を掛けてきたのは大学生に似合わぬ剛毛を持ったゴリマッチョ
田中 太郎
彼の身体の殆どがプロテインで出来ていると言っても過言では無いくらいのプロテイン好きだ。ちなみにポジションはキーパーだ。
「まあまあ二人とも落ち着いて。」
今宥めているのはイケメンだけど既に全部の髪が死滅しているアメリカに行けばモテていたであろう人物。名は
加藤 清吾
ちなみに銃好きである。ポジションはセンター。
他にも4人ほどいるのだが彼女とデート中だそうだ。
ちなみに俺らに彼女はいないというか出来たことがない以前に女子と喋った記憶が小学校で止まっているのだ。
「てかよ、このサークルほぼほぼ終わってんじゃね。転校した面子しか来てねえじゃん。」
「確かにな。」
俺が話すと清吾は賛同した。このサークルのメンバーは基本的に小学校の時のクラブメンバーで成り立っている。だから中学の部活動からやっていた連中は別のサークルを作っているため数少ないハンドボールに興味を持った連中はそちらに取られている。最も理由はあのサークルには絶世の美女がいるから入る人が多いとの噂だが。
「おいおい、俺たちはガチじゃない。エンジョイだ。楽しくやらなくてスポーツはできないぜ。」
ゴリラが良いことを言う。
「まああのサークルはな。なんか大会で優勝したらしいからな。」
「俺たちはあの監督に育てられたんだ。遊ぶってのがその心を忘れちゃいけねえよ。」
「そうだったな。どうだ大吾、太郎。監督に顔見せに行かないか?」
スキンヘッドは中々粋な提案をしてきた。ハゲていなければさぞ女に困ることが無かったろうに。
「おう行ってみっか。」
「久々に監督に会いに行くか。」
彼ら彼女いない歴イコール年齢の個性溢れるチェリーボーイズたちは恩師の元へ行く計画を練り始めた。
そして日曜日、俺たちは近所の体育館に来ていた。
「いよいよだな。元気してるだろうな。」
「鬼の監督だったからな。」
「そうそうでもしっかり見てくれたよな。」
何処か懐かしむ雰囲気を醸し出しながら中に入る。
「お前らクロス10回繰り返し始め!」
怒声の如き大声で指示を出す60代の男性がいた。
「「「あーやってるわ。」」」
昔と変わらない風景から俺たちは思わずハモった。
「「「監督、お久しぶりです。」」」
「おおハゲタカ久しぶりだな。お前は大吾か?」
太郎に向かっていう。
「いいえ自分は太郎です。」
「え。」
「監督、これが現実です。」
「いやあ身長伸びなかったんだな。」
「監督それ以上チビの傷を抉らないでくださいよ。」
おいゴリラ何ほざいてやがる。
思わず殴りそうに成ったところを清吾が止まる。
「監督、今は戦大で昔のメンバー達で楽しむ為のハンドボールサークルやってます。」
「そうか戦大か。じゃあ今来てる俺の孫娘と同じサークルか?」
「「「孫娘!?」」」
まず子どもがいることすら知らなかったがそれを飛び越え孫娘。しかも同じ大学のサークルに所属しているだと。
「あー俺に孫がいたの教えてなかったな。おーい明日香。」
「おじいちゃんどうしたの?」
そこには高身長のすらりとしつつもしっかりとした筋肉が所々見える和製美人がいた。
俺から接吻するにはあと身長が50センチ必要らしい スライム道 @pemupemus
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