ショートショート リケ女
今本豊明
賛成
彼女は化学会社に勤める研究員だ。
研究一筋、他のことなど無頓着だ。
同年代の女性と比べても、お世辞にもオシャレとは言い難く、いつも地味な色のスーツに
分厚い眼鏡、化粧もせずに髪もボサボサである。
そんな彼女のバックには当然あぶらとり紙や化粧道具など入っておらず、リトマス紙を持ち歩いているのがなんとも理系の彼女らしいと思わずにはいられない。
ある日私は彼女を喫茶店へと誘った。
窓際の席に着きオーダーを告げる。
私はホットコーヒーを、彼女はレモンティーをオーダーした。
会話もなくお互いの飲み物だけが減ってゆく。
私は意を決して彼女に告げた
「私と結婚を前提として付き合ってください!」
分厚い眼鏡の奥の表情は読み取れない。
彼女はおもむろにバックから青色リトマス紙を取り出した。
私は意味が分からずじっと見つめていた。
彼女はその青色リトマス紙にレモンティーに添えられた輪切りのレモンの汁を垂らした。
青色リトマス紙は赤色に変化していく・・・
それは「さんせい」の証だった
ショートショート リケ女 今本豊明 @dasaiossan
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。ショートショート リケ女の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます