第1236話 「紹介Ⅳ-Ⅴ+」

 グノーシス教団


 アレクサンドル・イエルド・イエオリ・ヴァルデマル


 第一司祭枢機卿。 任地がクロノカイロスだけあって枢機卿の中では実質トップ。

 その為、グノーシスが秘匿している情報の大部分を知っており、世界が滅びる事とタウミエルの事は知っていた。 この世界に先がない事を理解していたので自らの保身を第一に考えている。

 

 ただ、悲しい事に世渡りの上手さ以外に特筆する能力がないので教皇からすれば替えが効く駒程度の扱いだった。 そんな事情もあってウルスラグナの攻略に駆り出されたが、幸か不幸かクロノカイロスが陥落した事でアイオーンへと投降。 当初はクロノカイロスへ引き上げる事を考えていたが、オラトリアムにとって自分はどの程度の価値があるのかを瞬時に計算して投降する事を選択した。


 そんな事ばかりやっているものだからエルマンにも信用されず、散々尋問された後、奴隷に使用する裏切防止の処置を受けて強制的にタウミエル戦へと参戦させられた。 ちなみに本人は激しく拒否したが、行かなければ殺すとエルマンに脅されて参加。 描写はなかったが前の方に配置されていたのであっさり死んだ。

 タイミング的にはマネシアが死ぬちょっと前ぐらい。 死亡。 


 ※グノーシスのネームドキャラ。 捕縛された後、喋らせる事喋らせたらどうでもよくなったモブ。

 何かにリサイクルできないかとちょっと悩みましたが、使い道が思いつかなかったので雑に退場して貰いました。 ハーキュリーズが居れば良かったので生かしておく必要もなかったですね。



 オグデン・ガーゾン・キン・クエンティン


 第一助祭枢機卿。 ベレンガリア(三女)の彼氏。

 色々やらせて貰った事もあって便宜を図っていた。 これまで教団に忠実だった事もあって長い間、童貞を拗らせていた事もあって夢中になっている。 悲しい事にベレンガリア(三女)を運命の相手と思い込んでいたので他に男がいる事は知らない上、割と美化されていたのであまり疑わなかった。

 

 最後まで彼女の為にと行動していたが、ローにあっさりと殺された。 死亡。


 ※別の意味でのユルシュル元王の兄弟。

 ヴァルデマル以上にどうでも良かったので流れで退場させました。 



 グリゼルダ・ヨハンナ・ギーゼン・フェンベルグ


 第一司教枢機卿。 貴重な「純潔」の権能適性を持っているのでこの地位に納まっている。

 純潔の権能は性質上、外部に魔力源を用意しておくことが運用の最適解だったが碌に準備も出来ない内にローの前に立たされたので即死した。 死亡。


 ※流石に教皇一人しか使える奴が居ないのはどうかと思ったので「純潔」の権能を使えるようにしました。 主人公に惨たらしく殺される死亡枠。 司教枢機卿だけという括りでは優秀な部類でしたが、基本的に彼女達は後衛なので前に出た時点でどうにもなりません。  

 


 カポディスドレウ・ミツォノロプロフ・クロノカイロス


 クロノカイロス法王。 グノーシス教団の性質上、教皇と並んでのトップ。

 教皇が国外での指揮に関しての優先権を持っているが、彼は国内での優先指揮権を持っている。

 直属の近衛以外は国内にいる以上は法王の命令が上位。 教皇、ラディータ、ファウスティナと同様に前の世界からの持越し組。 元々は近衛の救世主なので教皇と同じぐらい強かった。


 前者二人と決定的に違う点が存在し、彼は不本意な形での退避となり仲間を見捨てる形になった事をかなり後悔していた。 加えて、退避する理由となった英雄の一人を強く尊敬していた事もあって後で事情知った事もあって心情的にはグノーシスの方針に否定的。 それでも法王として振舞ったのは今まで先達が積み上げて来た物を無にしない為だったのだが、グノーシスの腐敗と仲間であるはずの教皇とラディータのタウミエルに対するスタンスに絶望。ファウスティナに至っては状況を利用する事しか考えていないので吐き気を催すレベルで嫌っている。 最終的には生き残った事を後悔するに至っていた。

 

 結果、惰性で生き続け、死ぬ為の切っ掛けを待ち続けるだけの存在となり果てた。

 最後に現れた弘原海達には感謝しかしておらず、気前よく情報吐き出して自殺。 死亡。


 ※前回からの持越しの弊害を体現した存在ですね。 略してミツオの発想はありませんでした。

 本編でも触れていましたが元々、持越しの成功率は高くありません。 退避した人数はもっと居たのですが結局、残ったのは四人。 誰かが法王をやらなければならないと嫌々ながらも引き受けました。

 この頃はまだやる気があったので目に力がありましたが、数百年ですっかり腐った同胞を見てゆっくりと目が死んでいきました。 全てを惰性で過ごしていたので世界の行く末にも興味がありません。

 最後は死ぬほど美味いワインを飲んで楽になりました。 



 ロザリンド・レイ・フェリシティ


 グノーシス教団救世主。 防衛責任者の一人。

 高い地位に就けるだけあって戦闘能力は高い。 特に彼女は戦闘面に特化している分、防衛責任者四人の中でも強い方だった。


 グノーシス教団は剣技よりも権能適性を優先するので仮に聖堂騎士の水準に届いていない技量でも三種類以上の権能を扱えれば救世主になれ、四種類以上ともなると更に貴重なので教団の中でもかなり優遇される。 その為、純粋な戦闘技能で括るならピンキリが激しく、頭の足りない彼女がこの地位に就けた理由でもある。 当人は教団の信仰心と武芸で身を立てると豪語しているだけあってグノーシス全体で見ても総合力は高い。 その反面、指揮官、指導者――人の上に立つ身としての資質には欠けていた。


 自分にできる事が他人にできない事が理解できないタイプなので非常に押しつけがましい指導や指示を行うので部下からの受けは四人の中で一番悪い。 加えて自己評価が異様に高いので聖剣に絶対に選ばれるとも考えており、ハーキュリーズやラディータの事を運良く聖剣に選ばれたと心の片隅で見下していた。

 ついでに聖剣なしなら自分の方が強いとも思っている。 実際はハーキュリーズやラディータの方が圧倒的に格上だが。 そんな調子でサベージに戦いを挑みあっさりと罠にかかって死亡。


 ※ジェネリック四天王の一人。 ジェネリックマルスラン。

 オリジナル程の笑いを生むには至りませんでしたが、似た方向性の馬鹿さ加減は出せたのかなと思っています。 死亡は最初から、死に方は割と早い段階で決まっていたので、サベージの餌枠でした。

 


 フローレンス・ジンジャ・ストラウド


 グノーシス教団救世主。 防衛責任者の一人。

 幼少の頃より教団の教義を叩き込まれて生きて来たので、信仰心だけを寄る辺に生きている。

 その為、教団の言う事なら何でもはいと言うだけのイエスマン。 一応、そこそこ高度な戦闘行動は取れるのでグリゴリ配下のエルフよりは上等な思考能力を持った虚無の精神の持ち主。 ある意味では洗脳教育の成果を体現した存在といえるかもしれないが、甘かったのか死ぬ間際に正気を取り戻した。 死亡。


 ※ジェネリック四天王の一人。 ジェネリッククリステラ。

 彼女の別の末路と考えればアナザークリステラなのかもしれません。 

 あのタイプは一人いれば充分だと思っていたので、構想段階で死亡が決定していました。 電波女は一人いればいい。 ニコラスを突破した事もあってそれなりに強キャラ感は出せたと思っています。 


 

 ベレンガリア・マルゼラ・ラエティティア


 本名はロッテリゼ。 ホルトゥナのトップ。

 姉妹の中では一番母親に似ており、一番母親を嫌悪している。

 容姿は一番整ってはいるが、開発、指揮能力は姉妹の中では最底辺。 それでも容姿と体を使った篭絡で勢力を拡大し組織の実権を握った。 特に姉を始末しようとした案の完成度は高く、何もなければ上手く行っていたのだが失敗した時のリスクを考慮していなかったので一転窮地に立たされる。 開発能力もないのでグノーシス内部ではかなり肩身の狭い事もあってオラトリアム襲撃の際にはこれ幸いにと身売りを画策していた。


 残念ながら能力主義のオラトリアムでは得意技は通じず、最も危険な相手と遭遇した後、馬鹿にしていた姉の待遇を知って激高。 絶望の中、死亡した。


 ※珍獣じゃない方のベレンガリア。

 母親と同様、他人の成果を掠め取る事に特化しているので非常に敵を作り易い上、掠め取る対象が居なくなると自力で生きていけない無能でした。 正直、センテゴリフンクスとフシャクシャスラ関係のイベントで用事は済んだのでクロノカイロス戦が始まる前に死亡は決まっていました。 まぁ、誰が殺すかまでは決まっていませんでしたが。 最後は流れで主人公に自尊心を圧し折られて消されました。 ここに至るまで、そこそこいい思いしたので帳尻は合っているかと。 




 エメス


 ファウスティナ・ペラギア・エラゼビウス


 エメスのトップにして珍獣姉妹の母親。 前回からの持越し組。

 元々、エメスは枢機卿の託宣によって得た着想を元に技術に昇華させ、そこから新たな技術を生み出そうと研究している完全な研究開発機関だった。 全盛期は模造聖剣や魂の疲労を回復させる薬剤はこの組織による成果物。 英雄達が使っていた戦闘技能の出所もこの組織。 方針としては各国に技術の雛型を与えて発展したものを交換して伸ばしていくといった割と健全な活動をしていたのだが、前回の騒動で壊滅。 生き残ったファウスティナはそのやり方を悪用し、技術の構想だけ与えて一から作らせるといった搾取を目的とする方針に転換。


 エメスの関係者は彼女しか残っていなかったので止められる者がいなかった事もその増長を招いた一因となった。 法王は嫌悪しており、教皇ですら可能なら首を切って挿げ替えたいと思っていたが、ファウスティナも自身がどう思われているのかは理解していたので自身より優れた存在が生まれないように立ち回り、周囲もイエスマンで固め、娘に関しても歪んだ教育を叩き込んで互いに潰し合わせるように仕向けた。


 これは研究開発を代行させるだけでなく、始末する手間を省く目的もあった。 潰し合えば最終的に処分するのは一人で済むといった考えだ。 このようにとにかく自身が楽をし、効率よく他人を働かせて成果を掠め取る事しか考えておらず、精神年齢も低く、子供レベルの自制心もないので蟻の巣に水を流し込む様な感覚であちこちで騒動を起こした。 大きな例で言うならオフルマズドで起こった一件で、あの近辺に存在していた封印されている源生種――あの近辺には珍しく複数体居たので動けない状態のそれらを同時に殺して意図的に辺獄の氾濫を招いた。 理由は見たかったから。


 分体を生み出せる転生者――古藤を追いかけまわしたのもモルモットにする為だった。

 当初は元の世界への帰還をチラつかせて連れて行く予定だったが、アブドーラ達を処分しようとした事を看破されて決裂した。 分体――自身に類似した魔物を生み出せる能力を持った転生者だが、本編でも古藤と首途の二人だけしかいないかなり貴重な能力。 精製の過程としては体内で卵を精製して自身の養分を吸わせて孵化。 産み落とすというよりは口から吐き出す形で体外へ排出する。 生み出すのに大量のカロリーを使用するのか使用後は強烈な飢餓感に襲われる。 首途は早い段階で食事に困らない生活を送っていたので安定して産み出せていたが古藤はそうもいかずに魔物や襲って来る冒険者や追っ手を捕食する事で賄っていた。 アブドーラ達に生み出す過程を見せなかったのは飢餓感で襲ってしまう可能性を危惧してだった。


 エメスやグノーシスの異邦人に該当能力を持った者が存在しない事がその希少性を裏付ける。

 そんな調子で好き勝手振舞っていたのだが、グノーシス崩壊と共に価値無しと断じられアブドーラの復讐に遭って生まれて来た事を後悔するレベルの苦痛を味わって死亡。


 ※珍獣ママ。 グノーシスが襲われたトラブルは大体こいつの所為です。

 組織は残りましたが人員が残らなかったので私物化して好き勝手やった結果、死にました。 自業自得ですね。 造形としては碌に躾を受けず、ある程度人生が思い通りに進んで変に自信を付けてここまで来たといった感じですかね。 ちなみに子供を作ったのは自身に課したノルマと考えていました。

 そんな考えで作るものだから名前も適当に付けて忘れてました。 彼女にとって出産は排泄とそう変わらない行為だったのでやむなしといった感じでしょうか。

 


 柳橋やなぎばし 陽明てるあき


 ファウスティナ直属の異邦人。 カバ人間。

 一応、所属はグノーシスで肩書は聖堂騎士だが、特に本国では転生者は嫌われる傾向にあるので正規の聖騎士からの受けは非常に悪い。 それでなくても普段から働かずに引き籠ってタダ飯を喰らっている転生者が多いので風当たりは強い。 柳橋としても自分達が周囲からどのような目で見られているかを理解していた事もあって積極的に動く事にしていた。 イメージ改善というよりは自分はあいつ等と同郷であって同類ではないといった思いが強かった為。 そのかいあってかファウスティナ側近にまで上り詰めたが彼女の人間性を間近で見る事になり、表には出さないが蛇蝎のごとく嫌っている。 それでも仕事と割り切るのは現代日本に生きていた社会人の習性なのかもしれない。 何だかんだとその行動に共感して彼と一緒にと付いて行く者も多かったので人望はあった。 戦闘能力は転生者全体で見ても割と上の方。 実はそこそこ強かったが、その実力が通用する相手ではなかったのであっさりと消されてしまった。 死亡。


 エメス及びグノーシスにおける転生者の扱い――基本的にどの世界にも転生者は定期的に送り込まれてくるので、彼等の間では個体数は少ないが既知の生物として括られている。

 特にグノーシスは長い時間をかけてその生態などを研究していたので、現在は失われているが不幸な事に悪用方法だけはしっかりと残っていた。


 一部本編でも触れた通り、転生者は生物の構成要素――特に内蔵エネルギー関係を司る霊と魂が一体化する事により生み出されるワームが他生物と融合してその特性を得て変異した姿。 現代日本人の魂の寿命は非常に長く、内蔵魔力も膨大だった。 その理由は死亡した後も別の生命体への転生といった形でリサイクルされるからで、転生者として呼び出される条件としては寿命を残していたといったエゼルベルトの考察は的を射ていたが完全な正解ではなかった。 正確にはは転生回数が少なく、魂の寿命を多く残した存在が転生者として選ばれる。 彼等の世界は作中世界と違って完成度が高く、生物から魔力を吸い上げる必要がないので自然と魂が強靭になっていく傾向にある。 反面、作中世界は完成度が非常に低く、世界として完成する為に死亡した生物の魂をそのまま吸収する事によって養分としている。 その為、転生の類ができずに死ねば魂はエネルギーに還元されて消えてなくなる。 つまりは霊を得る事が出来ないのだ。


 本来なら魔力の漏出を止める霊の存在が物理法則を越えた異能の使用を許さないのだが、それが存在しないこの世界の生物は魔法を当然のように扱う事が出来る。 それは転生者も同様で霊と魂が一体化する事により魔力を塞き止める機能が消え失せるので方法さえ分かれば魔法を扱う事が出来る。 そして数回分の人生を送れる程の魔力を内包しているので肉体的にも頑強となり、作中世界の住人と比べて高い身体能力と魔力を得ていた。


 内蔵魔力が高いと言う事は魔力タンクとして非常に優秀である事を意味する。

 それに目を付けた過去のエメスの関係者は彼らを資源として有効活用しようと思いつく。

 タウミエルをやり過ごす為に用いられた「箱舟」だが、内蔵魔力によって内部に留めて置ける魂の量が増加する。 そして聖剣を用いなければ内蔵魔力を増やす事が出来ないといった特性を備えており、早々に聖剣の数を増やせば辺獄の氾濫を招き滅びが早まるので本末転倒となる。 その問題を解決する為にもう一つの特徴である「人間、またはその近隣種以外の種族だと内部に魂を留めておけずに魔力に分解される」といった特徴を利用する事を思いついたのだ。 それにより、転生者を内部に入れて魔力に分解させてしまえばその分、脱出する為の枠が増える。 つまり転生者はグノーシスにとって自らの安全を担保する為の生贄だったのだ。


 予定通りに行けばタウミエルの出現前に全ての転生者を避難の名目で全て箱舟に喰わせる事となっていた。 箱舟の仕様に関しては不明な点が多く、作り出した者達が何らかの事情で人間及びその近隣種以外に使えないように細工を施したといった説が濃厚となる。


 ※ネームドモブ。 エメスの内部人員としての役目以外は特に用意されていませんでした。

 順当に現れて順当に消えました。

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