願い

『大野くん、ごめんね。傷つけてしまって・・・』

ユリは光の中から大野に話す。

「ユリが悪いわけじゃない!こいつが悪いんだ!」

『大野くん、今から自首して・・・。最後に伝えたかったの・・・ありがとう、大好きだよ』

「ユリー!!」

大野が泣き叫ぶとユリは光に包まれて消えていった。



救急車が来て鈴木を搬送していったが、話が聞けそうなら警察から事情聴取があるだろう。

大野は殺人未遂の罪で警察に捕まった。

マナとリサとアユムは警察から事情聴取を受けている。

ユリは誰も傷つけたくなかったんだと思う。


最後にユリが伝えたかったことはなんだったのか。

願いはなんだったのか・・・。



翌日、うちの高校は大々的にニュースの的になった。

押し寄せるマスコミを押し退けて学校に入る。

「おはよ、マナ!」

リサは髪の毛がグチャグチャになったマナに話しかける。

「おはよう、朝から大変だわ」

「おはよう、マナ!リサ!」

アユムが元気よく2人の肩を叩く。

「アユム元気だね・・・」

もうユリの顔が携帯電話に映ることもない。

ただ、気になることはある。

「アユムってユリに似てるよね?」

「そりゃそうだよ、従姉妹だもん」

ポカンとしてる私にアユムは笑った。

「従姉妹ー?!」

「そうだよ、同じ年の従姉妹」

なるほどね、どうりで似ていたわけだ。

「私ね、ユリの代わりって事じゃないけどブライダルの仕事をしようと思うの。」

へぇー、アユムはもう夢があるんだな。

「いいんじゃない?」

「学校にも行かせてもらうんだ!」

アユムは明るくなった。ユリの件があってからずっと笑っていなかった気がするから。

「それから就職したら大野くんと結婚しまーす。ママやパパ、ユリのお母さんから祝福されたよ。」

そりゃ、めでたいな!

アユムはずっと大野くんに憧れていたらしい。

ユリにも報告しなければならないな。

ユリ・・・聞こえてる?

みんな、もう大丈夫だよ。

天国で安らかに眠ってね・・・・。


ピコン

アユムの携帯にメッセージが届く。

ユリの顔が映る・・・。

『許さない、大野くんは私のもの』

その瞬間、アユムの額から血が飛び出しアユムは前に倒れた。

「アユムー!!」

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グルチャ 卯月レン @426uzuki

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