疑心暗鬼
病院に着くとアユムの母親がいた。
「おばさん!!アユムは?」
バタバタと音をたてながらアユムの母親に寄る。
「あのね、今は寝てるの。検査してみて異常なければ帰れるみたいなの。」
良かった。
でも検査かぁ。
アユムに何が起こったの?
アユムの父親とリサとタクシーに乗って着くまでは生きた心地がしなかった。
「マナちゃん、リサちゃん、お家には連絡しておいたからすぐに迎えに来てもらえるはずよ。」
パパ達出掛けてたんだった!
マナは病院のロビーで家族を待っている。
「マナ!」
パパの声がした。
「この度は申し訳ありませんでした。マナちゃん、リサちゃんが付いててくれて心強かったです。ありがとうございます。」とアユムの母親が言う。
「いえいえ、アユムちゃんの容態は?」
大人達同士で話している。
「マナ、悪いんだけどうちの親来れないみたい。」
リサが寂しそうに言う。
「いいよ、送っていくよ。リサのお父さん達仕事だもんね。」
リサのお父さんは医者で、お母さんが看護師。二人とも夜勤らしい。
「では、失礼します。」
パパ達の会話が聞こえる。
リサを車に乗せて家まで送っていく。
家の前で降ろすと深々とお辞儀をして家に入った。
マナ達親子は静かに家路を急ぐ。
アユム、大丈夫かなぁ。
心配していると
「マナ、アユムちゃんは大丈夫よ。」
ママが背中を撫でながら言う。
「うん・・・。パパ、ママ、ごめんね。迎えに来てくれてありがとう!」
気にするな、と父親はウインクした。
家に帰ると真夜中になってた。
明日は学校休みだ・・・・。
リサ、まだ起きてるかな?
メッセージを送ってみる
『まだ、起きてる?』
ピコン!
リサから返答が来た!
『起きてるよ!』
『通話をしない?』
『いいよー』
通話ボタンを押すと、すぐにリサの声がした。
「マナ、今日はありがとう!おじさん達に伝えておいてね。」
「わかったよー。」
あとでパパ達に伝えておこう。
明日は両親揃って出掛けるが早起きではない。後でいいだろう・・・。
「アユムと通話が途切れる前何か言っていたよね?」リサが問いかける。
確かにユリの顔が写ったとかって言ってたな。
「ユリの顔が写ったって言っていたよね?」
不安げにリサは言う。
「ユリの霊?」
アユムから聞かないと何もわからない。
すると、ピコンと音がした。
『私は自殺なんかじゃない、許さない』
メッセージは登録してないところから来てる
「なに、これ!?」
リサが驚く。
「リサ、どうしたの?」
リサにも同じ内容が送られてきたのだろうか。
「ユリの顔がっ!!」
リサは慌てふためいてる。
「えっ!?落ち着いて、リサ」
リサの声が途切れ途切れになっている。
「もしもし、聞こえる?」
プツブツっとへんな音がする。
一度携帯の通話を切ると液晶画面にユリの顔が映った!
「ユリ!?」
『大野くん・・・』と言い残すと、ユリの顔がすぅっと消えていった。
急いでリサに電話をした。
「マナ?」
か細い声で私を呼んだ。
「リサ、大丈夫?」
今起きたことをリサに話す。
大野くんの名前が出たけど、なんの意味があるんだろう・・・。
大野くんに殺されたとか?違うよね、何かの間違いだよ。そんなことをする人に見えないもの。
「マナ、大野くんには気をつけて。ユリが言ったからって訳じゃないけどなんとなく・・・」
疑心暗鬼に囚われてしまったんだろうか。
リサは誰も信じられないと言った様子だった。
リサとの通話を切ったあと、両親の部屋を覗くとすでに寝ている。
とりあえず、月曜になったらまた聞こう。
ベッドに横になり、天井を見つめている。
だんだんと眠りに墜ちていく。
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