#3.<いただきますとビックバン・コスモス>ピンチ

「ねえ、いただきますってなにヨ――」


「それは……時と場合と人によりけりなので、自分で考えて下さい」


「ミー? ミーは召し上がりますって言うヨ。だって自分あっての過去であり今であり未来デショ。捨てる神あれば拾う神あり。いただく神はいないのヨ」


「あんたの気がおかしいことはわかりましたから」


「待ってヨ、ジェイン。あんたもしかして――貴族の血?」


「ミーの周りはみんな王侯貴族の血が流行ってたヨ。ミーだけじゃないヨ」


 全員がその食堂から出た瞬間、背後で扉が閉まる。


 目前にあるのは黄金龍の背中――退路はない。


「わあっ、これならドラゴンの背中に乗れるヨ。ミーはオリエンタルは初めてヨ――シャオメイも早くくるヨ――」


「ジェ、ジェインッ! 待つよろし」


 決断はガイの方が先だった。


 彼はジェインのウエストに腕を絡めると、もう片方の手でシャオメイをひき上げた。


「うわぁ――!!!」


 そこは前人未到の地が、風景が広がっていた――。





「楽しんでいるかい。ジェイン。ガイ。シャオメイ……」


 しかし、ヨシュアの表情は、驚きのそれにかわる。


 子守りロボットの彼の耳には子供たちの声がいつでも届くことに――製作者側の都合で――なっている。


「なんと!」






「ジェイン、身を乗り出してはいけないヨ。いくら立体映像とはいえ落ちたら危険ヨ――」


「そうです。自分たちには果たさねばならない目的が――ミッションクリアという――使命があるんですっ」


「はっ!? してはいけない? べつにいいデショ。危険? 何が悪いのヨ。目的? ミッション? 使命? それ、何のため? 意味不明デショ――」


 下方からのあおりで、ジェインの体が浮き――ガイがその体をひきずり倒し、シャオメイがクッションになった。


「人間の体は飛べるようにできてはいないっ。たとえ重力に逆らったとしてもっ。酸欠と寒さで意識を失い、落ちて地面に激突するか、大気圏でひきさかれるのがオチだっ」






「そうか、そう考えるか――」


 ならばと思う――ヨシュアの顔は口をパクつかせる魚のように歪む。


 これは――こんなことは初めての――今生で一回きりの、一世一代、ヨシュア最大奥義――


 ビッグひかりバンあれ――






「月が光を――どんどん増して、光がっ――大きくなっていくっ」


「ジェインッ、それは人工灯アル、αよりβへ光源接近しすぎ――ッ」


「アー、ストップ。乗り物よいがあぁ~~、おうぇ~~~~」


「ガイい、、吐かないでヨオお~~~~~~~」


 オエ――――。


 二次被害。





 閑話休題。


 ジェインは天上の光を見つめて――☆ そのとき星は瞬いたのだった――○






 真っしろな光の中で羽音がした。


「ぉ父さん・・・・・・」


『ヨシュア、父でさえもそんなことは――そこまではしなかったヨ、ビッグ・バンに使うために星の体をあげたんじゃない。あわてるんじゃないよ』


「それでもお父さん、我々はあの子らを導かなくては、お父さん、どうすれば・・・・・・」


 ヨシュアは――。









「アイヤー、金龍が全てのかぎだったか――」


 金龍に乗ったとたん、ライトの色が入れかわった。金龍の背中はスイッチなのだった。


「まるで昼と夜とが入れ替わったようだった……よく正気に戻れたなぁ」


「ガイはウソついたヨ。吐いたのにナスビのにおいしなかった。たらふく食べてないデショ!」


「うそっていうか、つまらないこと言うやつと思われたくなかったというか……」


 ガイはジェインにせめられてしどもど。シャオメイが手元のパズルをいじっている。


「青いうさぎと白いうさぎ(東へ2コマ)。青い馬(南へ1コマ)。ここで龍に乗って白灯になって白トリ(西へ1コマ)。白い馬(南へ1コマ)。青トリ(西へ1コマ)。で申の絵の部屋へ。北の扉開けるよろし。金龍に乗っていった方がいいアルな」


 三人はそこに原始の太陽を見て一目散。


「アイヤー、火事アル!」







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