第4話 もう少し

 冬休みになった。

 このころから。

 はるのことだけが、ネットや雑誌で話題になっていった。

 -ミスター・ガール-

 研ぎ澄ましたような瞳と。

 時々伏せがちになる瞳と。

 はるだけ、他の三人とは、明らかに違う路線を走るようになっていった。



「はるー!」

「日高ー!」

 久しぶりの日高の笑顔に。

 気づくと、はるは柵に足をかけて、日高に近づいていた。

「久しぶりだね。元気だった?」

「うん。仕事が忙しくて、何かバタバタだったよー」

「そっか。体に気をつけてね」

「うん」

 柵から下りて。

 はるは、日高を見上げた。

 髪が伸びて。

 腰のあたりまであった。

 急に。

 はるは不安になった。

 -どうして伸ばしてるの-

 って。

 無邪気に聞くのが怖くて。

「ん?」

「ううん、行ってくるね」

 そう言って行きかけたはるが、

「あっ日高、今年の演劇部のサヨナラ公演、三学期にやる事になったの。観に来てくれる?」

「もちろん」

 日高は、笑った。

(わー、きれい)

 何てきれいなんだろう。

 はるは、もう一度、日高の元へ駆け寄ると、

「ねえ、ちょっとハグして」

 そう言って柵に足をかけた。

「遅刻しちゃうよ」

 日高が微笑わらって。

 それでも。

 両手いっぱい、はるを抱きしめた。

「ありがとー!行ってくる」

「がんばってね」

「うん」

 まだだ。

 まだ終わっていない。

 いつしか。

 はるは駆け出していた。

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