第41話 進むべき新たな道
王国から逃げ、街を抜けて平原で集まった僕達5人。
大剣を振り回す剣士としてのオーソドックスな前衛をこなすフレデリカさん。身軽で俊敏な動きで敵を撹乱し、情報戦もこなせる元諜報部隊のトリュス。後方から弓を引いて攻撃し前衛もこなせる、状況によって前衛と後衛を使い分けることが出来るシモーネさん。攻撃魔法主体で、殲滅戦を得意とする魔法使いであるフィーネ。そして、攻撃魔法、回復魔法に支援魔法とあらゆる魔法に精通している、いい意味の言葉で表せば何にでも対応できる魔法使いである僕、エリオット。
考えると、結構バランスの良いメンバーが揃ったなと思いつつ、今後に向けてを相談することに。
「王国を抜けて何処へ向かうべきだと思いますか?」
僕が中心になって皆に意見を聞いてみる。
「やっぱり、ここから一番近い商業の国に行くのが良いんじゃないか? あそこならダンジョンの数も種類も豊富で、冒険者としての仕事、商隊の護衛やモンスター狩りなども多く受けられると聞いている」
シモーネさんは、ここから一番近い国であり、仕事もあるだろうと思われる商業の国を挙げた。
「ここからはちょっと遠いけど、うまい食べ物と酒が飲めるって言われている中の国はどうだ? あそこも冒険者の活動がしやすいって聞いているけど」
フレデリカさんの言う中の国は、名前の通り大陸の丁度中心に位置する場所にある国だ。観光名所や食べ物、飲み物などは非常に品質の高い物が多くて商人や旅行者に大変人気の場所・物が沢山ある国だと言われている。
「私は魔法の勉強がしたいので、学術都市のある国に行きたいです」
フィーネは魔法研究所を辞めたとはいえ、学習意欲は一切無くしていないようで学術都市に興味津々だった。この国は、魔法技術ではトップクラスと言われている王国と同じか少し上ぐらいの進んだ魔法技術を生み出していると言われていて、魔法使いの育成や支援を国を挙げて行っている。そして、学術都市は主に魔法使いなどを育成する施設である。
魔法使いとして一度は行ってみたい国である。ちなみに僕は過去に旅をしていた時に行ったことがある。
トリュスは無口のまま意見を出さないでいる。そのためフレデリカさん、シモーネさん、フィーネの3人が出した意見の中で、どの国へ行くのか行き先を決める話し合いが行われた。
そして、結局一番近いという理由で商業の国に行くことが決定した。
「とりあえず、商業の国へ行ってダンジョンを攻略して回り修行することにしましょう」
僕は一番の目的地を商業の国と決定した。あそこは今居る場所から一番近いという理由の他にも、国の回りにダンジョンが密集して存在しているという理由も有った。あそこにあるダンジョンを攻略して回れば、能力を高めることが出来て強大な的にも立ち向かえるようになる。王国という国から追われる身となった僕達は特に力を身に付けて簡単には捕まったり打倒されないようにしておきたい。
そして商業の国という名前の通り、商業をする商人が集まってくる。その商人の薄暮情報を頼れば、世界中に流れている情報について商業の国に居ながら触れることが出来る。
コレは非常に大きい。
「そうね、王国兵から逃げるにしても、強力な力があったほうが逃走は楽になるだろうし、商業の国へ行ってダンジョンを回って攻略するのに賛成よ」
「おう、私も何時かは王国という場所を飛び出て、色々なダンジョンを攻略して回りたいと思っていたんだ。丁度良いし、夢が叶うな」
すぐに賛成してくれるフレデリカさんとシモーネさんのクロッコ姉妹2人。
「私は王国の外に出るのは初めてです。商業の国には、とっても興味が湧いています」
初めて王国を出るというフィーネ。学術都市にも非常に興味を持っていたが、他国や、他国にあるダンジョンにも等しく興味があるらしい。
「……」
相変わらず無口のトリュス。彼女は議論には参加してこなかったが、念の為に商業の国に向かっていいか聞いみると、問題ないという返事をくれるので話し合いの内容は聞いてくれているようだった。
目的地が決まったので、僕は魔空間から取り出した大陸地図を広げてルートを決める。ここで非常に役に立ったトリュスが持っている情報。彼女の持つ情報は、王国内部の事だけでなく、他国の情報や街道について、最近の大陸の状況など色々な事を知っていた。
トリュスの持つ情報を参考にながら王国兵が追ってくることを想定して、王国と商業の国とをつなぐ街道は使わないで、少し迂回して王国兵の追手には付いてこられないような道を選ぶ。
1つ注意なのは、街道以外の道を使うとモンスターが出るということだ。このモンスターは未発見とされているダンジョンから溢れ出してきたモンスターである可能性が高いと考えられていて、外へ出てきたモンスターはモンスター同士で生殖し自然に増えることもあるそうだ。
このモンスターと遭遇しないように避けて通れるようにしたのが街道だった。その道を外れて進むとなると、地上でモンスターに遭遇する確率が非常に上がる。モンスターに遭遇する事と、王国兵に遭遇する事を天秤にかけて考えてみると、王国兵との戦闘を行えば僕達5人の情報が流れてしまうかもしれないので極力王国兵との戦闘は避けて、モンスターと積極的に戦闘していくという事に。
モンスターとの遭遇に注意しつつも、慎重に進むことが決まった。
こうして話し合いが進められ、目的地に向かうルートも決まり進みだした僕達5人。王国とさよならをして、商業の国へ向かうのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます