はじめてのサイン本のこと

公式に、というのか、サインをさせていただけることになりました。

本を出させてもらって以来、お会いした方や、刊行のお祝いのお礼を兼ねて文庫本にサインをして渡したことはあったんですが、ほんの数人です。

未来屋書店さんの「GO TO 読書」という企画で、サイン入りのカードを石巻店さまへ送ったこともあったなぁ。

それも含めて、あの方に書いた、あそこで書いた…と、全部覚えています。

なんの苦労もなく、数えられる程度です。


サインは、「NetGalley」様のプレゼント企画用です。

9/15発売予定の新作のゲラが掲載されているのですが、レビューを投稿してくださった方の中から抽選でお届けする、という内容です。


特に自分のサインを用意していなかったので、めちゃくちゃ慌てました。

自分じゃかっこいいサインを全然思いつかないし、この先思いつく気も一切しないので、世の中にいるという、有料でサインを考えてもらえるサインのデザインのプロに依頼をしようかとも考えたのですが、なんかこう、かっこいいサインを書いている自分にピンとこなくて、一週間くらい悩んだ挙句、やめました。


これまで書いてきたのと同じ、手癖強めの記名でいきます。

何年も経った後の自分に「なんでちゃんとしたサインつくらなかったんだよー」と文句を言われるかもしれないけど、いまのままの状況が何年も続く可能性がまず低いので、後先を考える必要はないのでは…と思い至りました。

背伸びをするのはどうも性に合わないです。


もともと字の癖が強いんですけど、十代のころに趣味で書道っぽいアートを描いていた時の名残です。

海外で接客のバイトをしていた時に、お客さんの名前(アルファベット)を筆ペンで書道っぽく書くというお仕事をして、癖が強いままで完全に定着しました。

でも、サインを渡した方からは「サインっぽいです」とコメントをもらったので、その方を信じます。


サイン(らしきもの)のそばに落款をそれっぽく押していたんですが、その落款も大昔から使っているものです。

学生時代に、お祭りの露店で作ってもらったんですよね。

葛飾区のお祭りだったんですが、商店街のハンコ屋さんが出店していて、「かっこいい!」ってなって。

「ハンコ? いつ使うの???」

「えー、だってかっこいいやん!」

って、友達とワチャワチャやりながら「豆子」と彫ってもらったハンコを受け取って、実際ずっと文房具箱で眠っていたんだけど、まさか出番がくるとは…。

(筆名にしている「豆子」も、長年のあだ名です)


ちょっと大きいので、お仕事で使うなら作り直そうかなと、こっちも探してみたんだけど、その時の縁日ほど「かっこいい!」と感じるものが見つからなくて。

はじめて見つけた時、はじめて手に入れた時の感動を超えるものは、そう簡単には見つからないですよね。

落款も、このまま使い続けようと思います。

学生時代になんとなく憧れて縁日で買ったハンコを、手癖の強いサインに添えて文庫本に押します。


サイン本のプレゼント企画は、8月13日(日)が締め切りです。

すでにたくさんのレビューをいただいて、本当に本当にありがたいです…。


ご興味のある方は、ぜひどうぞ。

ゲラといって、刊行前の途中経過の原稿が掲載されていて、読むことができます。

https://www.netgalley.jp/catalog/book/296187


そのゲラと同じものが、わたしの手元にも届きました。

校正さんのチェックと最後の私の修正を反映された後の原稿が、本になります。

最後のチェック、がんばります🙂

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