創作のこと②《創作さん『雲神様の箱』2巻編》

まさか、「創作さん」の話をもう一度することになるとは…。


ご存知ない方のために、もう一度。

「創作さん」は、わたしがお話を書く時にフラッと現れては去っていく架空の存在で、毎回わたしの精神を破壊するくらいの暴言を吐き、致命傷を与え、創作のマイルールを念押ししていく、想像上の鬼マネージャーです。

(詳しくはこちらをどうぞ)

https://kakuyomu.jp/works/1177354054891934508/episodes/1177354054892365073


たいてい構想を練り始めた頃にやってきて、一番口うるさいのはプロット(企画書)を作る時です。


最近、新しく?話を書こうとした時も、「創作さん」はどこからともなくやってきました。

「教えてあげるよ。いいかい? こうするんだよ」

と、手を差し伸べてきます。


アレ????

なんか、いつもと違う。


いつもの「創作さん」は、出刃包丁を振り回して襲ってくるヤマンバっぽかったり、うしろからそうっと覗きこんできて「つまんね」とつぶやいて去っていく死神っぽかったり、強面の乱暴男っぽかったり、どんなキャラクターになるかは取り組む物語にあわせて毎回変わるのですが、とにかくわたしを殺しにきている感じなのです。

(勝手に生み出した想像上の存在なので、自分を殺そうとするくらいの架空の存在を生み出すなんて酷いマゾだな…とも思います)



なのに、今回の創作さんはびっくりするくらい紳士で、かつてないくらい優しいのです。


「いいかい? 次は、囲碁をやりながら将棋をするんだよ」

「先に黒いリボンをつくっておきなさい。あらかじめ敷いておいて、最後に物語をラッピングするからね」

「リボンは作り込まなくてもいいよ。水の上に浮いた膜をそうっとすくい上げるくらいで、蜘蛛の糸くらいの脆さでも大丈夫だよ」


と、わたしが「どうしよう、どうしよう~」と悩む前に、もう教えてくれるのです。


なんて優しい…。

わかったよ、創作さん!

囲碁で将棋ね! 黒いリボンね! リボンは作り込まなくてもいいのね!


「うん。リボンよりも、物語そのものを作り込んだほうがいいからね。ラッピング用のリボンは、手が回ったらで大丈夫だよ」


こんな感じで、めちゃくちゃ優しくて、にこやかに笑いながら、先手を打って手を差し伸べてくれるのです。

なんと頼もしい…! 今回の創作さんは最高!

と、わたしもすっかり安心して、信頼しかけました。


でも、ふと我に返ります。

うまく出来過ぎている…。

なにせ、いつもだったら、「創作さん」はわたしを殺す勢いで襲いかかってくるのです。

なぜ今回ばかり…優しい、優し過ぎる。

(襲われ慣れているので、素直になりにくいちょっと拗らせた書き手です)


なんなんだこいつは…。

こいつを信じていいのか…。

こいつを信じて、差し伸べられた手に手を重ねてついていったら、なにか良くないことが起きるんじゃないのか…こいつは魔物じゃないのか…。


そこまで思って、ハッとしました。

アイツだ……………。

某物語の主要登場人物にソックリだったのでした。


え?

わかってます。

「創作さん」っていう考え方自体がコックリさんごっこ的なホラーであることは認めます。わたし的にはいつものことですが、書いてみると「こいつヤベエ…アタマ大丈夫か…」って自分に対して思います。



その某物語、『雲神様の箱』は、1月23日に角川文庫さまから発売されていますが、2巻も出させていただけることになりました。

はい、わたしが取り組んでいた話もそれです。


「創作さん」となって現れたのは、雄日子そっくりの存在でした。

あぁ、これはイヤだわ。こういう奴がいたら怖いわ…。

たしかにありがたいけど、助かった~ってコイツを信じて頼ったが最後「そうか。なら、お代はおまえの命だからね?」ってにこやかに言われそうだ。(言いそう)

なるほど、アイツはこんな感じね。

なるほどねぇ…と、ひとりで怪しくブツブツ唱えながら、ただいま一生懸命準備しています。


上でも書きましたが、構想段階から練り直して書き直してますので、1巻以上に、ネット版と同じ部分はほぼないです。


くわしい情報はまたのちほどになるのですが、「そうなんだ、出るのね~」と、時たまチェックしていただけると嬉しいです。


あ、番外編もまたやろうかな~と。

番外編についてはTwitterでぼちぼち呟いていますので、ご興味があればぜひ。




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