創作のこと①《創作さん》
「毎日楽しそうだね」と、人からよく言われます。
うん、毎日楽しいです。
頭仕事がしんどかろうが、力仕事がしんどかろうが、マルチタスク万歳状態だろうが、わりといつも楽しいのでニコニコしてます。
でも、いったん創作モードに入ると、自分でもわかるくらいに表情が変わります。人でも殺しそうな真顔になります。
一番の理由は集中するからだけど、ものすごく緊張したり、塞ぎ込んだりするせいもあります。
わたしの中に、創作の鬼マネージャーがいるからです。
「そんなんで面白いとでも思ってるつもり?」
「ハア、あなたのエゴに読者を付き合わせる気なの?」
「この文が邪魔! この無駄な一文を読ませる苦痛を読み手に与えたいわけ?」
「それは小説じゃなくて独りよがりな日記ね。全部消しなさい」
などなど、逐一、「これはアカン」「こんなん書くなんてアホか??」と罵ってきます。
酷いんです。
作品によっては、出刃包丁を振り回すヤマンバっぽく襲ってくる時もあるし、うしろから死神みたいにそうっと覗きこんできて、ボソッと「つまんね」とつぶやいて去っていく時もあります。
めっちゃ怖いです。
彼らに睨まれた後は、「わたしってなんて才能がない奴なの…」と、床に泣き崩れます。(※イメージ)
でも、彼らが来ないと不安になります。
自分勝手に盛り上がってウワ~~イ、楽し~~い!と書いた文章を、彼らがけちょんけちょんに貶してくれるおかげで、どうにか読み手の目に触れていい状態になると思っています。
彼らの存在は、わたしには欠かせないのです。
突然フラッと現れては去っていく彼らのことを、「創作さん」とわたしは呼んでます。
あ、ちょっとホラーっぽくなってきましたね。
彼らは、わたしにとっての創作のルールを念押ししていく存在です。
作品ごとに、ヤマンバだったり死神だったりとイメージを変えますが、みんなだいたい同じことをわたしに怒っていきます。
つまり、わたしの中にいるはずの鬼マネージャーを作品の雰囲気ごとに擬人化させて、物語を書きながら鬼マネージャーとのやり取りを想像して遊んでいるんですね。
ある意味本物のホラーです。
大事にしているルールはいくつかあるのですが、大原則がこれ。
・書き手のエゴほど不要なものはない
「こんなに凝った文を書いたら読んだ人がうっとりするんじゃないのか…?」
なんて愚かにも思う一瞬があったら、それは「その文はまるごと削除せよ」の合図だと思っています。
読み手は物語を楽しみたいはずなので、作者がいるよってことを気づかせてしまいそうな書き手のエゴや影がわずかたりとも入ってはいけないよね、と。
わたしのレベルの低さも読み手には関係がないことなので、自分でも書けそうなシーンじゃなくて、必要なシーンを無理してでも書きます。
書き手は必ず黒子。読み手ファーストです。
(あくまでわたしの場合です。理想なだけで、まだできてないし)
こういう時も「創作さん」がやってきて、「てめえは読み手をそんなにしらけさせたいのか? アァ?」と、強面の顔で凄みながら胸倉を掴んできます。(※イメージ)
はっきりいって怖いです。(※イメージ)
でも、彼らの訪れを心から待っているわたしがおりまして、彼らがきて去っていくと、なんだかホッとして、ニコニコします。
あっ、なんだか楽しそうですね。
日々と一緒で、創作もめいっぱい楽しんでいるようです。
なんていうか、苦しさも含めて、創作が好きです。
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