ノイズのリズム

円堂 豆子

カクヨムコンのこと

もともと公募にトライしていた人です。


小説の公募やコンテストは試合みたいなもので、選考を通過するために物語を組んで、書きあげます。


カクヨムコンは中間選考の次が最終選考だけど、わたしが応募していた賞は、三次選考、四次選考と、選考に残る作品が少しずつ絞られていくコンテストがほとんどで、落ちて当然と思いつつも、一つでも選考を通過するとすごく嬉しかった。

試合だからね。


でも、三年ほどやってみて、イヤになりました。

書きたい物語じゃなくて、選考を通過するための作品を書くようになっていたからです。

それで、もうやーめた!って、ネット公開のみの作品を書くことにしました。


作品を書くことで認められたいんじゃなくて、好きなものを好きなように書きたかったんだな~と、気づきました。

書いたら、カクヨムなどのサイトを利用して公開することもできるし、公開すれば読んでくれる方もいるしね。


コンテストによっては、応募するだけだと、読んでくれる方は選考に携わる方だけです。

一次選考の担当の方、二次選考の担当の方、三次選考の担当の方、四次選考の担当の方…と、高次の選考になると二人、三人と、複数の目でチェックされることもあるので、そこまでいってようやく、全部で6~7人くらいの方に読んでもらえる計算になります。


でも、ネットでの無料公開だったら、選考を通過しなくても、たぶん7人以上の方は読んでくれるのじゃないかな~と。

居心地、いいです。


カクヨムコンは、編集画面をちょろっといじるだけで応募できます。

あまりにも簡単。お手軽。すごい。

かつての公募の、印刷して、自分の経歴をまとめて、作品の概略を作って、「時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。このたび、〇〇賞の募集を拝見し…」なんていう挨拶文を書いて、セットして、封筒に入れて、「応募原稿在中」って赤字で書いて、郵便局へ行って…みたいな手間もない。


字数制限も緩い。

以前わたしが応募していた賞は、400字詰め原稿用紙何枚以上、何枚以下っていうのがわりと厳しく決まっていて、さらに、作品に深みを持たせるために応募者は字数ギリギリのところを狙って書いてきます。これがもう、かなりの作業。

でも、カクヨムコンやネットの賞はけっこうふんわり。楽ちん。

応募者じゃなくてレーベルが合わせてくれる印象です。

なんて応募しやすいんだ。


一つ困ったことがあるとすれば。

応募しちゃったら「もうあとは野となれ山となれ!」と、選考の途中経過の発表を待つしかない公募と違って、選考の途中経過が見えちゃうところでしょうね。


ランキングがありますよね。

ランキング上位の人気作のようには、わたしの作品は評価をされることはなかったので、ランキング上位にある作品は雲の上みたいな存在でした。


ランキングのページも、応募したからにはどこかに載ってるはずだけど、順位が低くて1ページ目にはいないから、2ページ目、3ページ目と探していくものの、まぁどこにいるのかわからないくらい埋もれているので、探そうともしなくなります。


ふっと気が向いて探してみて、見つからないなぁ~と思うと、「見つけたい」という欲が別のものに変わったりもします。


膨大な数の作品が溢れかえっているカクヨム。どれも面白そうで、「面白かった」っていう読者のレビューがついている作品もたくさんあります。

そういうのを見ちゃうと、こんなことを思いませんか?


【こんなにたくさんの方が面白い物語を書こうとしてるなら、わたしがわざわざ書く必要ないんじゃないか?】


これを思い始めたらアウト。

「公開するの、やめよっかな~。わたしは書きたいだけだし」と思っちゃう。


だから、わたしみたいなタイプの方は、ランキングやら評価やらはあえて見ないほうがいいかもです。


ランキング上位が賑やかな繁華街だとしたら、わたしは、路地裏の隅っこにある知る人ぞ知る、目立たない、でも、そこにしかない商品を扱うマニアックなお店みたいな書き手を目指そうって思ってました。

「売る気ないのね~、でも、好きなことやってるのね~」みたいな。

現実でもわたしはそういう店が好きだし、そういうお店にどこでも買えるものがあったら寂しくなります。とことん「好きなもの」を置いてあるほうが嬉しいもん。ええやん。


賑やかな街でお祭りに参加するのもありだけど、のんびり、マイペースにやるのも、楽しみ方のひとつだと思うのですよ。

一番のメリットは、争うことを忘れたほうが、応募作を宣伝しようと考える時間も余裕も、すべて作品のことに回せることです。


「いいものを作ったら必ず人はくる。日本でそこにしかなかったら、どこからでも人は買いにくる」


なんだか、いいセリフですね。著名人がいったような。

実はこれ、わたしのおじいちゃんの言葉なんですが(笑)

商売人だった祖父がこういうことをよくいっていたんだけど、わたしもそうだと思います。


もしもランキング上位の賑やかさに魅力を感じなければ、自分にしか作れないものを作り続けていけばいいのじゃないかな~と。

目立たなくても、心の底からちゃんと創作を楽しめます。


はじめて参加したカクヨムコン4に引き続き、カクヨムコン5も参加させてもらおうと準備中です。

今回も、路地裏にひっそりとオープンしているマニアックなお店を目指して、書きたいものを書きます。

物好きな方に見つけてもらえますように(笑)


以上、わたしのカクヨムコンの楽しみ方でした。

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