38
「放してよ。可憐ちゃんに誤解されちゃうよ。」
「何を?」
私の抵抗に、びくともしない宗田くん。
心配そうな顔をされるたび、私の胸は痛む。
「宗田くんには可憐ちゃんみたいな可愛い子が似合うんだよ。」
宗田くんの眉間のシワが更に深くなる。
思わず出てきた言葉に自分が驚いた。
私、可憐ちゃんに嫉妬してる…?
宗田くんのことが好きだから。
だから楽しそうに話す二人を見て、勝手に嫉妬して勝手に傷付いてるんだ。
私って、本当にバカだな。
宗田くんのことが好きなのに、ずっと一歩が踏み出せなくて。
こんなことでしか好きだって実感することができなかった。
呆れられて当然だよね。
宗田くんがいつまでも待っててくれる気がしてた。
でもそれは私の自惚れでありなんとも自分勝手な想い。
自分の気持ちを伝えなきゃ、相手に伝わらなきゃ何も始まらないというのに。
何でこんな簡単なことが、できないんだろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます