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「仁科、何か誤解してる?」
「…別に。」
絞り出た答えも素直じゃなくて、本当に参る。
泣きたくないのに勝手に目は潤むし、勘弁してよ。
「もしかして嫉妬してる?」
宗田くんの言葉に、とたんに顔が熱くなる。
そうだよ、私は嫉妬してるの、可憐ちゃんに。
とは言葉に出せないけれど、私の顔から読み取った宗田くんは、意外にも優しく笑った。
「嫉妬するくらい、俺のこと想ってくれた?」
私の腕を捕んだままいたずらっぽく微笑む彼に、私はもうお手上げ状態だ。
「私、宗田くんが好き。」
ようやく言えた言葉なのに、恥ずかしさのあまり真っ赤になってしまう。
そんな私を見て、宗田くんは声もなく笑った。
「嬉しいけど、場所変えようか。」
言われて気付く。
私ったらトイレの前で告るとか。
しかも仕事中だし。
ムードもへったくれもないわ。
女子力皆無、ここで発揮せずともよくない?
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