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どうして私はまた逃げてしまうんだろう。

胸のモヤモヤがどんどん膨らんで張り裂けそうだ。

痛くて苦しくて、本当にもう、何なの。


外の空気を吸いに外に出ると、曇天の曇り空だった。

まるで私の心の中みたいだ。

今にも雨が降りだしそうで、切ない。

しばらくトイレに籠ろう。


「仁科。」


名前を呼ばれて心臓が跳ね上がる。

声の主はわかってる。

ちょっと低めの、でも優しいトーンで私を呼ぶのは宗田くんだ。

至って冷静に、いつもの通りに振り向いて返事をした。


「なに?」


ニコッと笑顔を作ったつもりだったのに、宗田くんの眉間にシワが寄った。

やっぱり上手く笑えてないんだな。

ほんと、参っちゃうよ。


「何泣いてるんだよ?」

「泣いてないよ。」


泣く理由なんてないじゃない。

何をとぼけたことを言っているんだと思ったけど、視界がぼやっとして、とぼけてるのは私だと気付いた。


やばい、本当に泣いてた。

恥ずかしくて顔を背けたけど、腕を捕まれて宗田くんの方を向かされる。

これは詰んだ。

逃げられないもの。

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