こじらせ卒業します。
36
あれから何事もないまま1ヶ月がすぎた。
その間、私の気持ちに変化があったかというと、何もなく。
ただただ仕事に勤しんでいただけだ。
宗田くんもここ最近は図管に来ておらず、関わることがなかった。
だからか、彼からのアプローチもぱったり途絶えた。
仕事が忙しかったのか、はたまた呆れられたのか。
私は後者だと思っている。
そんな日々の中、久しぶりに図面管理課に宗田くんが顔を出した。
相変わらず可憐ちゃんが受付対応をする。
私は少し下がったところで書類の仕分けに勤しむ。
「宗田さん、この前は買い物に付き合ってくださってありがとうございました。」
「どういたしまして。」
可憐ちゃんと宗田くんの楽しそうな会話が聞こえてくる。
詳しいことはわからないけど、話の流れから二人で買い物に行ったことだけは聞き取れた。
いつの間にそんな仲良くなったんだろう。
二人の笑い声が聞こえるたび、私の胸はズキンと痛む。
やっぱり可憐ちゃんの好きな人は宗田くんなのだろうか。
二人が楽しそうにしているこの空間にいるのがつらくなって、私は席を立った。
トイレに行くふりをして、そっと事務所を出る。
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