変化

変化


 洗面台にぽつんと置いてあったサボテンを捨てました。

 当たり前にずっとそこに置いてあったので、ホコリをかぶってしまっていて、なんだか申し訳ない気持ちになってしまって。でもこのままここに置いていてもどうせまたホコリをかぶってしまわせるくらいならごめんなさいだけど、そっと捨てることにしました。


 きっと人も街もそうで、あたりまえになってしまったらもう何も思わないのでしょう。刺激的な時間はすぐ終わって、ただ風化していくだけなんだと思います。それでも目をつぶっていけそうななんとなく曖昧なまま過ごせる人、もしくはそんなことに鈍感であれるような人だけが上手く過ごしていけるのだと思います。


 どうやら僕はそのどちらでもなくて、ちょっぴり考えすぎなところがあるので、そしてそれがよく見えすぎる傾向にあるので、一緒にいてとっても疲れてしまうんだと思います。

 本当は色んなことを吐露したいような気もしますが、そんな場所も都合よくあるわけもなく、ただひたすらに夜を繰り返しています。どこかにこんな気持ちをわかってくれる人はいるのかななんて、まだ甘い気持ちを引きずっては、修正してを繰り返しています。


 「人は変わってしまうものよ」と言われたことが未だに残っています。ちくしょー、この引っ掻き傷がこんなに人生において致命傷になるだなんて。

 きっとホコリをかぶったサボテンと同じくして、変わらずにそこにあるものはあたりまえに見過ごされ、あたりまえに通り過ぎていくのでしょう。


 そんなあたりまえを愛すしかない僕は、どうしろって言うんだ。

 

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