砂時計
砂時計
この部屋を流れる空気と、漂う会話はまるで砂時計の砂がさらさらと落ちるように、静かに時間を無機質に消耗していきます。
どれくらい時が経ったかわかりませんが、確実に時間は経っていて、なんだか不思議な気持ちになります。
小さな瓶に詰められたような圧迫感が、ちくちくと胸を刺して、そろそろ埋もれて死んでしまいそうな息苦しさの限界で、どこからか大男がやってきて、砂時計を逆さに返します。
それは水中で息を止めギリギリで顔を出した瞬間にも似た解放感は束の間、また上から砂がさらさらと落ちて来るのです。
埋もれて、寸前で解放されて永遠にそれの繰り返し。砂時計の曲面に映る歪んだ顔の私はいつだってその空間の中で、今日も眠るのです。
いつか砂時計が逆さまにならない時が来たら、このループも終わるのだろうか。もうひっくり返すのをやめた砂時計を見て静かにそう思うのです。
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